約 1,067,793 件
https://w.atwiki.jp/ercr/pages/530.html
発売日 2011年9月2日 ブランド Purple software タグ 2011年9月ゲーム 2011年ゲーム Purple software キャスト 井村屋ほのか(春日伊織),風音(杏奈),桃井いちご(羽鳥詩),柚木かなめ(工藤野乃),榊るな(工藤日奈乃),倉田まりや(真田かなた),桜川未央(星河雫),小池竹蔵(加勢冬弥),夢咲朱花(春日ハル),中澤アユム(羽鳥映),水上司郎(クロ) スタッフ キャラクターデザイン/原画:克,siki 企画/原案:鏡遊 シナリオ:鏡遊,tiro プログラム:河合優子 スクリプト/演出:河合優子 グラフィック:白米,貞本琉規,神代舞,nishi,NAK,樽 背景デザイン:山本浩憲,さいが,猫ミ沢 背景グラフィック:さいが 背景ムービー/エフェクト:猫ミ沢 フレームデザイン:貞本琉規 ディレクター:湯 営業・広報:彦二 プロデューサー:石川泰 OPデモムービー:ニライカナイ BGM:アブカワオサム 音声収録:AZクリエイティブ エフェクト・SE制作協力:AZクリエイティブ パッケージデザイン:池田裕一 スペシャルサンクス:有限会社クロスポイント,タブリエ・コミュニケーションズ株式会社,株式会社メディアビレッジ デバッグ:Purplesoftware all staff 制作・著作:Purple software オープニングテーマ 「未来ノスタルジア」 歌:橋本みゆき 作曲・編曲:ANZE HIJIRI 作詞:石川泰 エンディングテーマ 「未来図」 歌:浅葉リオ 作曲・編曲:斎藤悠弥 作詞:石川泰
https://w.atwiki.jp/gundamwar/pages/5787.html
MS-06 ボルジャーノン(ギャバン機) [部分編集] 武神降臨 UNIT U-116 茶 1-2-1 U ボルジャーノン系 ザク系 MS 専用「ギャバン・グーニー」 《(1)》特殊兵装〔高性能爆弾〕 (自動A):「特徴:ボルジャーノン系」を持つ全ての自軍ユニットは、+1/±0/±0を得る。 宇宙 地球 [2][0][2] ボルジャーノン系である自軍ユニットの格闘力を強化するボルジャーノン。 自分自身もパンプアップ効果の対象になるので、単体でも実質[3][0][2]である。 2国力で両適正の(非デュアル)ユニットが格闘力3というのは高めの部類。 しかも1枚制限等の展開制限やRFザクの様な追加コスト等も無いとなると貴重。 ボルジャーノン(エイムズ機)やボルジャーノン(ジョン機)の様な目立ったテキストは無いものの、特殊兵装を持っているというのは、茶としては強い利点となる。 低国力で特殊兵装を持つカプル(コレン専用)同様、序盤における捨て山の作成とコントロールを受け持つ事が出来る。 回収できる高性能爆弾は、自分以上の大型と相討ちを取るには有効な兵装。併せて運用しても良い。 能力の関係上、ボルジャーノン(ギャバン・グーニー機)《BB2》のほぼ完全な上位互換である。ただし、以前のものは所謂「旧ザク」の型番だが、こちらは「通常のザク」の形番の為、そもそもの機体が違う。3枚ずつデッキに投入するのは適正。
https://w.atwiki.jp/bodai/pages/226.html
アジアは、六大州の一つである。 構成国と地域区分 アジアは、東アジア・東南アジア・南アジア・中央アジア・西アジアに分類される。 東アジア 日本 韓国(大韓民国) 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国) 中国(中華人民共和国) 台湾(中華民国) 東南アジア ベトナム ラオス カンボジア ミャンマー フィリピン マレーシア ブルネイ・ダルサラーム シンガポール インドネシア 東ティモール 南アジア インド パキスタン スリランカ モルディブ ネパール ブータン 中央アジア カザフスタン ウズベキスタン トルクメニスタン キルギス タジキスタン 西アジア トルコ シリア レバノン イスラエル ヨルダン サウジアラビア イエメン オマーン アラブ首長国連邦(UAE) カタール バーレーン クウェート イラク イラン 人口 順位 国名 人口 1 インド 14億2860万人 2 中国 14億940万人 3 インドネシア 2億7020万人 4 パキスタン 2億4290万人 5 バングラデシュ 1億6470万人 6 日本 1億2430万人 7 フィリピン 1億960万人 アジアの総人口は45億人に及び、六大州では最も多い。 経済 順位 国名 国内総生産(GDP) 1 中国 14兆8670億ドル 2 日本 4兆2310億ドル 3 インド 2兆9460億ドル 4 韓国 1兆7220億ドル 5 インドネシア 1兆4170億ドル 人口の多さも相まって経済大国が立ち並ぶ。 アジアで初めて近代工業が興ったのは日本である。明治時代に西洋文明の吸収と近代化が急速に進められ、日露戦争を経て欧米諸国と並ぶ列強の一つと扱われるまでに至った。太平洋戦争の敗戦で国土は焼け野原と化すが、その後驚異的な高度経済成長を遂げ先進国へ復帰した。 1970年代にかけて経済成長を遂げたのは、新興工業経済地域(NIES)に数えられる韓国・台湾・香港(イギリス領)・シンガポールの4カ国である。この4カ国は「アジア四小龍」と称され、90年代には日本と並ぶ先進国と扱われるようになった。 NIES諸国に遅れること20年、中国が経済成長を始める。鄧小平により社会主義市場経済への移行(改革開放)が進められ、沿岸部の経済特区では外資企業の誘致が積極的に行われた。その結果驚異的な経済成長率を記録し、2010年に日本を抜き世界2位の経済大国となった。 その他西アジアの産油国は先進国並みの所得水準を有する他、インドや東南アジアなどが経済成長しつつあり世界中の注目を浴びている。 一方、カンボジアやバングラデシュなど非常に貧しい国々も点在しており、各国による持続可能な援助が求められる。
https://w.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1426.html
22 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 36 27 ID uS/qJs7j 『連続殺人事件に発展か 行方不明の小学生女児、遺体で発見』 秋日市に配達される朝刊の地方欄に、そんな見出しが大きく載った日のこと。 文雄と千鶴子はだいぶの余裕を持って、朝の通学路を歩いていた。 文雄たちと同様、秋日高校に徒歩で向かう生徒も道の先に見えるが、あくまでまばらである。 五月の終わりの空は清々しく晴れ渡り、柔らかな日差しが生徒たちの黒の制服を照らしていた。 「ほらね、全然大丈夫だったでしょう」 「……まあ、お前の色々な手際の良さは本当大したものだと思うがな」 「まあね、実力よ」 そんな会話を交わしながら、千鶴子は彼女には珍しく鼻歌など歌っている。 一方で、文雄はいかにも疲れた様子で肩を落としていた。 「時間が無いなんて、時間を作れない人間の言い訳よね。したいことがあるなら、実力でどうにかしないと」 「それだけ聞くと、すごくいいことを言っているみたいだな……」 「あら、まるで本当はいいことを言っていないみたいな言い方ね」 心外だという風に首をひねる千鶴子に、文雄はため息をついた。 「朝からあんなことをするために頑張るのは、あまり褒められたことじゃないと思うぞ……」 「仕方ないじゃない。放課後は文雄さんに帰る時間をずらされてしまったら、父さんと母さんの在宅時間と重なってしまって『あんなこと』ができないんだもの」 あくまで静かな物言いの千鶴子に、文雄は背筋を冷やした。 責める口調ではなかったが、千鶴子が文雄を責めていることは十分に分かった。 美山叶絵を解放した日から、あの千鶴子との契約を交わした日から、一週間。 千鶴子はその言葉通り毎日文雄との行為を求めてきた。 学校から帰ってから、自宅のどちらかの部屋で、一線は越えないまでも性行為を兄妹で行ってきたのだ。 文雄は何とかそれに応えてきたものの、どうしても思い悩む気持ちが拭えず、昨日意図的に帰宅時間を遅くした。 結果、千鶴子は文雄に求めるタイミングを計れず、昨日は実に一週間ぶりに文雄と千鶴子の間の行為は無しで終わった。 「今朝の分は、昨日の分よ、文雄さん」 「……」 「あまりああいったことがあると、学校でもことに及ぶ方法を考えなければならなくなるから、そのあたり慮っていただけると嬉しいのだけれど」 「ああ……」 やはり自分の浅はかな企みなど簡単に破られてしまう。 文雄は心中で深くため息をついた。 自分の周囲の人間を守るために、一日に一回千鶴子の想いを満たすという契約。 自分で考え、自分で決断したことはわかっている。 しかしそれでも、心の奥底に抱く、妹への反発心は消えなかった。 自らの欲望を満たすために、知人を盾にする妹への怖れと怒りの炎は、静かに燻っていた。 「何を考えているのか、大体わかるわ」 思いに沈む文雄に、千鶴子が声をかけてきた。 「どうして、て顔をしているわね」 「……ああ。思わない日はないよ」 「本当、文雄さんは損な性格よね。さっさと割り切って楽しんでしまえばいいのに。私これでも、結構勉強しているつもりなんだけど、気持ち良くなかったかしら?」 「……」 文雄は無言で歩を進めた。 文雄にも肉体的な快感はあった。 妹の蠢く舌の感触は、文雄の神経を否が応にも刺激し、性的な興奮の高みに導いていた。 行為の時は必ず、文雄は千鶴子の手で、口で、射精をしていた。 「……前にも聞いたけど、どうして俺なんだ?」 「興味があるからよ。興味があるものを、深く知りたいと思うのは当然よね」 「どうして俺に興味を持つんだよ」 「私と考え方が全然違うからよ。私と同じ風に考える人だったら、さして興味を持たずに済むのだけれど……文雄さんはそうなれるのかしら」 「お前と同じ考え方になることはないな」 「それじゃあ今のところどうしようもないわね。困ったものだわ」 千鶴子の小馬鹿にしたような口調に、文雄は思わずむっとしてしまう。 何か言ってやろうと大きく口を開いたその上唇に、千鶴子の人差し指があてられた。 23 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 37 30 ID uS/qJs7j 「はい、そこまでよ。もう校門だから」 「あ……」 「私との関係を周囲の生徒たちに喧伝したいなら、それはそれでかまわないけれど?」 「……」 文雄は口を閉じた。 いい様に扱われている風ではあったが、実際千鶴子との関係を他人に知られるわけにはいかなかった。 「そうね。傍から見たら、あくまで仲の良い兄妹でいましょうね」 千鶴子は笑って、 「今日のお弁当も自信作だから、きちんと食べてちょうだいね」 さらりと話題を変えた。 「ちなみに文雄さん、中間テストはうまくいきそうなのかしら?」 「……どうだろうな。統治郎と勉強していく予定だけど」 「ふうん。相変わらずの仲の良さね」 そんな当たり障りのない会話をしつつ、昇降口へと向かって歩く。 と、文雄の耳に、同じように登校する女子生徒の話し声が入ってきた。 「なんかさ、あの事件の容疑者の娘が、うちの学校にいるんだって」 「え? ちょっと、それ本当なの?」 「本当本当。二年生だって聞いたよ。もう有名だって……」 思わず立ち止まって聞き入ってしまった。 「文雄さん、どうしたの?」 「いや……叶絵ちゃんの話かと思ったんだけど……」 事件、娘――その単語を聞くと、つい先日の美山叶絵の件を思い起こしてしまう。 噂になっているとはどういうことなのか。 不安の表情を見せる文雄に、千鶴子は小さく笑った。 「文雄さん、先ほどの方々は別の人のことを言っているんだと思うわよ。叶絵さんは私と同じ、一年生だもの」 「む……そうか」 「あの事件というからには、例の事件じゃないかしら。新聞にも載っていた……」 「ああ、あの……」 秋日市連続少女殺害事件―― この一週間で立て続けに起きた事件に、街はこれまでにない緊張感を伴っていた。 被害者はいずれも十歳以下の少女で、報道はされていないが、性的な暴行を受けた末に殺害されたと噂が流れていた。 「その容疑者の娘が、この学校に……?」 「どうなのかしらね。容疑者が浮かんだという話は聞いていないけれど。根も葉も無い……かどうかはわからないけれど、あくまで噂なんじゃないかしら」 「だとしたら、気の毒だな。そんな噂が流れたら、普通には過ごせないぞ。二年てことは……」 同級生か。 呟く文雄に、千鶴子は鋭い眼を向けた。 「文雄さん、わかっているとは思うけれど、余計なことに首は突っ込まないように」 「え……?」 「他人は他人。可哀想だと思っても、それはその人の選んだ人生なのだから」 「相変わらずだな、お前は」 文雄はため息をついた。 「俺は俺の思ったようにやるよ。助けたい時には助ける」 「またそうやって……!」 「俺が助けたいと思ったら、お前はそのために動いてくれるんだろう?」 「う……」 それまでの冷たい物言いが一転、千鶴子は文雄の一言に黙り込んでしまった。 「あの約束はその意味合いもあったと思うが、どうなんだ?」 「まあ、できる限りのことはさせてもらうわよ……」 「何だかいきなりおとなしくなったな」 「もともとこんなものよ。あなたに対しては」 生意気で、優秀で、冷酷な妹。 その妹を、性の鎖によって、この一瞬は支配しているという感覚。 「……とにかく、俺が約束を守っている以上は、お前にも守ってもらうぞ」 「ええ。でも、無茶はしないで。私だって万能じゃないのよ」 力なくため息をつき、千鶴子は手を振った。 「それじゃあ、文雄さん、これで。また放課後にね。今日は一緒に帰りましょう」 24 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 40 16 ID uS/qJs7j 夕刻、第二図書室の貸出席に、千鶴子は一人座っていた。 古い紙の香りが漂う広い空間に、その日も千鶴子以外に人はいない。 橙赤色に染まる静寂の世界に、千鶴子が本の頁をめくる音が時折響くのみである。 「……ふぅ」 読書に一区切りついたのか、千鶴子は小さく息をついて顔を上げる。 慣れ親しんだ図書室を見廻し、相変わらずねと口にした。 「誰かが来たところを見たことがないわ」 特にそのことに不満があるわけではなかった。 大好きな本に囲まれて、気ままに過ごせる空間を、千鶴子は大いに気に入っていた。 それこそ、他の人の当番日を進んで代わるほどに。 もはや昼であろうと放課後であろうと、この図書室の貸出席は、千鶴子の指定席となりつつあった。 「この静けさ……落ち着くわね」 目を閉じて、深く息を吸う。 瞬間、重く閉じていた図書室の扉が勢いよく開かれた。 「えーと、こんにちわ。お久しぶりー」 「……」 扉を開き、入ってきた一人の少女に、静寂はあっさりと破られた。 「あら? 澄川さん寝てる? おおい」 肩までの髪を揺らしながら、少女は千鶴子の前で手を振って声をかける。 千鶴子はゆっくりと目を開けた。 「いえ、起きているわよ」 「ああ、良かった。無理に起こすと澄川さん怒りそうだもんね。どうしようかと思っちゃった」 「……わかってて言っているのかしら」 「え? 何が?」 千鶴子は首を振って膝の上の本をぱたりと閉じた。 「まあいいわ。で、何の御用かしら、叶絵さん。私としては、あなたとはあまりお近づきになりたくないのだけれど」 「いえね。お礼にと思って……この前の」 少女は千鶴子の言を気にした様子も無く、あははと笑う。 美山叶絵。 今朝がた文雄との会話の中でもその名は話題に上った。 一週間前、千鶴子の提案により養父を殺害し、望みを叶えた少女。 「あれから色々あったけど……相続の手続きも、警察の方も、どうにかなりそうだから、改めて。ここに来ればみんなに会えると思ったんだけど」 叶絵は先ほど千鶴子がしたように周囲を見廻した。 「居ない、ね」 「文雄さんだったら、夏江さんと教室で勉強会の最中だと思うわよ」 「そっか。じゃあ、澄川さんに改めて」 「私に?」 千鶴子は眉をひそめた。 「私にお礼なんて言う必要はないわ。文雄さんに言いなさい」 「お兄さんにも当然言うけどさ。澄川さんにも言わないと、おかしいでしょう」 「前にも言ったけれど、私はあなたを助けるつもりなんて全くなかったのよ。結果的にそうなったのは、文雄さんが望んだからなの。それ以上でもそれ以下でもないわ」 「うん、覚えてるよ。でも私は結果が全てだって考える人間だから。結果として助けてもらったあなたにお礼を言いたいの。本当にありがとう、澄川さん」 叶絵はそれまでの笑顔から一転、表情を引き締め、深々と礼をした。 「あなたのお陰で、生きてるっていいなと思えるようになりました」 「ああ、そう……」 千鶴子はあくまで淡々とした様子で言う。 「あれはあなたが自分でやったことだから、自分を誇ればいいと思うわよ」 「千鶴子ちゃんが背中を押してくれたのは間違いないから。恩人だよ」 「そうまで言うならありがたく受け取ってはおくけれどね。もし恩を感じてくれるなら、いつかその恩を文雄さんに返すようにしてちょうだい」 「ん……千鶴子ちゃんがそう言うなら、そうするよ」 一週間前には想像もつかなかった、晴れ晴れとした笑顔を見せる叶絵。 対照的に、千鶴子は右手を頭にあて、眉間にしわを寄せている。 25 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 41 10 ID uS/qJs7j 「あのね、叶絵さん。あなたは私の親か兄弟だったかしら」 「ううん、違うと思うけど……」 「ならその、私に対する呼び名は何なのかしらね?」 「いやあ、どさくさにまぎれて既成事実にしちゃおうかなと思ってたんだけど、やっぱり無理だったか」 あははと叶絵は笑う。 「まぎれられるわけがないでしょう」 「千鶴子ちゃんも私のこと叶絵さんって呼んでいるし、いいじゃない」 「美山さん、やめてもらえるかしら」 「あらら……厳しいね、本当」 がくりと肩を落とす叶絵。 だがその表情はあくまで笑顔で、本当に落ち込んでいるわけではないことはわかった。 「……美山さん、ずいぶんと変わったわね」 「そう?」 「美山作蔵に対してあんな長期戦を敷いていたくらいだから、忍耐力のある人なのだろうとは思っていたけれどね」 「ひょっとして、褒めてくれてる?」 「ええ。強くなったわね。あの晩の、怯えた姿とは大違いだわ」 「一線を越えちゃったからね。強くならざるを得ないよ」 「良い心掛けね。私はあなたみたいな人は苦手だけれど」 また叶絵はがくりと肩を落とした。 「落ちをつけるのを忘れない人だよね、千鶴子ちゃんて……」 「美山さん、今後その呼び方をしたら、私は一切受け答えはしないので、そのつもりで。というかお礼が済んだなら帰ったらいかが? 文雄さんや夏江さんのところにも行かなければならないのでしょう?」 「それは明日でもできるし、澄川さんとこうやって二人きりでお話しできる機会はそうはないもん」 「結構露骨に出て行ってほしいと言っているつもりなのだけれどね」 「うん……今のは露骨というか、そのままだったね。でもまあ、澄川さんもあれ以降の処理のこととか、色々聞いておきたいことがあるでしょ?」 確かに千鶴子にしてみれば、自分が関わった犯罪の顛末は聞いておきたいところではあった。 叶絵が何らかの間違いを犯していないか、千鶴子自身に何らかの不利は起こっていないか。 そろそろ叶絵に確認しておかねばならないと、この数日うっすらと考えてもいた。 千鶴子は無言で立ち上がると、図書室の鍵を閉めた。 「手短にね」 「うん」 26 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 41 37 ID uS/qJs7j 叶絵は近くの椅子に座り、美山家の相続の手続きは順調に進んでいること、今後は夏江家の援助を得つつ一人暮らしをするつもりであることを伝えた。 「警察についてはどうなの?」 「それがね、担当についた刑事さんが統にいのお父さんの知り合いの人でね。すごく優しくしてもらってる」 「ふむ。夏江さんが手を回したのかしら」 「それは私も聞いたんだけどね、統にいは違うって言ってたよ」 「特に疑いは抱いていない様子なのかしら」 「……わからない。ちょっと考えの読みにくい人なんだ。でもそろそろ終わりだって言っていたから……」 「夏江さんが手を回したにせよそうでないにせよ、順調に行っているということね」 千鶴子は少し考え込む仕草をして、 「……夏江さんは、美山作蔵の死の真相に、気づいているのかしらね」 叶絵に問いかけた。 「私からは言ってないけど……澄川さんは?」 「言ってないし、これから言うつもりもないわ。夏江さんは文雄さんの大切なお友達のようだから、任せることにしているの」 「ふぅ……ん」 叶絵は椅子に座ったまま姿勢を低くし、覗き込むように千鶴子の表情を見た。 「……何よ?」 「澄川さんて、お兄さんにはすごく気を遣うよね」 「私は常に気遣い万全の女よ」 「そういう冗談とは別にして」 「……」 千鶴子の様子は全く気にすることなく、叶絵は言葉を続けた。 「あの晩も、お兄さんのことですごく怒っていたし。何ていうか、お兄さんに関わっていたから、澄川さんはあんなに必死になっていたのかなって」 「何が言いたいの?」 「……好きなの? お兄さんのこと」 叶絵の問いに、千鶴子は答えなかった。 しばらく、二人の間に沈黙が流れる。 千鶴子はうつむいて―― 「家族のことだもの。真剣になるのが当然でしょう」 「うん……そうだよね」 ただ、千鶴子のそれは家族の情などというもので量れるものではないと、叶絵は思っていた。 常軌を逸した感情だと。 「千鶴子ちゃんは……お兄さん想いなんだね」 「どうかしら。このところは嫌がらせばかりしているようだけど」 軽く笑いながら、千鶴子は呟いた。 誰にも見せたことのない、自嘲の表情だった。 27 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 42 00 ID uS/qJs7j 「そろそろ行くか」 「ああ」 文雄の呟きに、統治郎は頷き、机に広げていた勉強道具を片し始めた。 閉じられた教科書の上側にはみ出した二枚の付箋に示された、中間テストの試験範囲。 その大半が、今日の放課後の勉強会で終わってしまった。 それもそのはず、いつもなら適当に会話を織り交ぜて進んでいく二人の勉強会は、今日に限っては終始無言で、何かに触れないようにと二人とも一心不乱に勉強をしたのだ。 その何かとは、やはり叶絵の件だった。 統治郎には聞きたい気持ちもあったし、聞くのが怖いという気持ちもあった。 叶絵はあれ以来少しずつ元気を取り戻し、統治郎にも頻繁に話しかけてくるようになった。 虐待の過去を振り払うように、今では本当によく笑顔を見せる。 あの一晩で何があったのかはわからない。 ただ、あの夜を越えて、全てが良い方向に進んでいた。 それならば、そのままでいいじゃないか。 統治郎はこの数日、何度も自分に言い聞かせてきた。 が―― 「文雄、千鶴子ちゃんは元気か?」 廊下を歩きながら、そんな問いを発する。 「ん? ああ、相変わらずだよ。どうしたんだ、いきなり」 「このところ弁当を届けに来ないからな。具合でも悪いのかと思って」 「いや、うちの妹は弁当の配達が本職というわけじゃないからな。俺が普通に弁当を持って行くようになれば、わざわざ来る理由もないだろう」 「相変わらず、兄を兄とも思わず、か」 「ああ、日々兄の威厳を見せてやろうとしているんだが、なかなかな……」 笑いながらそんな会話を交わす。 当然文雄も統治郎の心中は察していた。 彼が本当に知りたいことは何なのか。 この親友に全てを打ち明けるべきなのか、それともあくまで隠し通すべきなのか、文雄にはわからなかった。 自分も、千鶴子も、叶絵も知っている。 統治郎だけが知らない。 仲間外れにしているような、罪悪感はあった。 しかし何より、親友には日常の中に居てほしいという思いが強くあった。 「統治郎」 「何だ?」 「数学は俺に任せろ。だから英語をみっちり教えてくれ」 「……ああ。支え合いの精神だな」 「支え合いだ」 二人は拳を合わせ、階段を下りた。 28 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 42 54 ID uS/qJs7j 「しっかりお勉強はできたのかしら」 校門の門壁に寄りかかるようにして、千鶴子が待ち構えていた。 「統にい! 一緒に帰ろう」 そしてそのすぐ傍らには元気に笑う叶絵の姿があった。 珍しい組み合わせだなと、文雄は思った。 「どうしたんだ、一体」 「放課後一緒に帰りましょうと、言っておいたでしょう」 「いや、そうではなくて……」 ちらりと、文雄は叶絵を見る。 ああ、と千鶴子は頷いた。 「さっきそこで会ったのよ。何だか付いてきてしまって」 「犬猫みたいな言い方しないでよ、千鶴子ちゃん……」 「その呼び方をしたら今後一切受け答えはしないと言ったわよね」 「いやあ、図書室での込み入ったお話の終わりに、きちんと返事をしてくれたから、いいのかと思って……」 「それは意識せず言ってしまっただけだから、勘違いしないでちょうだい」 二人のやり取りに、文雄が何の気なしに聞いた。 「図書室で? そこで会ったんじゃなかったのか?」 「いやあ、それがですね、お兄さん。千鶴子ちゃんもこれで複雑な悩みがあるようでして」 腕を組み、わざとらしく首を振る叶絵の肩に、千鶴子が静かに手を置いた。 「叶絵さん。それ以上言ったら、私はある決心をしなければならなくなるわ」 「……すみません」 千鶴子の尋常ならざる雰囲気にあっさりと謝る叶絵。 怯えながらも、どこか楽しそうなその様子に、文雄は純粋に驚いていた。 叶絵が変わったこと。 そして、千鶴子と対等な関係を築いていることに。 「あ、お兄さん」 叶絵が文雄の方を向き、背筋を伸ばして呼びかけた。 「え……俺のこと?」 「はい。千鶴子ちゃんのお兄さんなので、お兄さんです。やっぱり違和感ありますか?」 「いや、そういうわけでもないけど……」 実の妹にすら「お兄さん」と呼ばれたことのない文雄には、何ともこそばゆい言葉だった。 「では澄川さんと呼ばせていただきますね」 言って、叶絵は千鶴子の方を流し見た。 「ね、私だって、ただ千鶴子ちゃんって呼びたいから呼んでたわけじゃないんだよ。お兄さんと区別をつけるためにね」 「あなた、今それを考えついたでしょう」 ごまかすように笑って、叶絵はまた姿勢をただした。 「ともかく、お礼を言っておこうと思いまして」 「ああ。そんなのいいよ。俺は何をしたわけでもなし」 「いえ。澄川さんには色々とお気遣いいただいて……ありがとうございました」 丁寧にお辞儀する叶絵に、文雄はまいったなと、照れるように後ずさった。 「お礼なら統治郎に言ってくれよ。何しろ、君を助けたいからって、土下座までしたんだから……」 「ええ。統にいには現在進行形でお世話になっているので、全部が終わってからお礼を言おうかと思って」 「現在進行形?」 「はい。先ほど千鶴子ちゃんにもお話ししたんですが、色々な手続きやらがまだ途中で。それと……」 はっと叶絵の表情が変わった。 文雄の肩越しに先を見つめるのがわかる。 千鶴子はその視線を追った。 そこには、一人の女性がいた。 黒のスーツに身を包み、髪を後ろでまとめた、社会人と思しき人物。 女性は、千鶴子と目が合うと、にこりと笑って手を振った。 29 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 43 18 ID uS/qJs7j 「やー、どうも! 角間切子と申します! 警部補やってます!」 女性は、落ち着いた外見とは裏腹に、やたらと勢いづいて挨拶をした。 この人が例の、と千鶴子は叶絵に目で問いかける。 叶絵は小さく頷いた。 「角間さん、今日は……?」 統治郎が問いかけた。 「うん。叶絵ちゃんに最後の聞き取りと、お元気かなって様子見に」 「はあ……」 「統治郎君、元気そうで何よりだわね! うん、良かった!」 「え、え? 様子見って俺のですか?」 「ううん! あなたたち全員よ! 後輩たちよ! だってここは我が青春時代を過ごした母校なんですもの!」 角間切子は拳を握り、校舎に向かって突き出す。 「元気そうで何より! グッドよ!」 元気一杯にそう言いながら、切子はまず統治郎の肩を叩き、次いで文雄の肩を叩き、更に叶絵と千鶴子の頭を撫で回した。 「あらー、何だか賢そうな子ね! 先輩として誇らしいわ」 千鶴子の頭を執拗に撫でる切子を、冷や冷やした面持ちで眺めつつ、文雄は統治郎に小声で問いかけた。 「何か元気すぎる人だけど、知り合いなのか?」 「ああ。父の知人で……叶絵の養父が亡くなった件の担当をしているそうだ」 「じゃあ、警部補っていうのは本当なのか?」 「本当だ」 「見えないな……」 「ああ……」 二人しみじみと頷く。 切子は何かに満足しのか、千鶴子の頭を撫でるのを止めると、よしと頷いた。 「ということで叶絵ちゃん。お話し、いいかな?」 「はあ……」 勢いに圧倒された様子で、呆けたように叶絵は頷く。 いつもこうだったのだろうか、と千鶴子は思った。 「待ってください。最後の聞き取りということでしたが、手短に終わらせていただけるのでしょうね?」 あくまで静かに切子に問う。 頭を撫でられたのは気に食わなかったが、感情をぶつけるべき相手でないことは承知していた。 「叶絵さんはこれから私たちと予定があります。それに、こんな学校の前で聞き取りとなると、叶絵さんの評判にも影響しますので。お心遣いをお願いします」 「ん。確かにそうだね。もともと学校から離れたところで声をかけようかと思っていたんだけど、母校が懐かしくてついふらふらとね。確かに、配慮が足りなかったね。ごめん」 切子は頭を下げた。 「ほんの数分で終わらせるから、いいかな?」 「かまいませんよ」 叶絵はなんでもないという風に頷いた。 「ああ、では俺たちはあちらに少し離れて待ってます」 統治郎が文雄と千鶴子を促す。 千鶴子は後ろ髪を引かれる思いで、その場を離れた。 30 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 44 49 ID uS/qJs7j 校門を出てすぐの路地の傍らで、叶絵への聞き取りは行われた。 そこから十メートルほど離れたところで、三人はその様子を見ることになった。 特に千鶴子は、注意深く叶絵と切子の表情の変化を見ていた。 (最後の聞き取りというからには、疑わしいところは無しとして処理をされているのだろうけど……) 千鶴子の心に引っ掛かっていたのは、あの角間切子という刑事が、わざわざ学校にまでやってきたという点だった。 先ほど本人が言ったとおり、母校を懐かしむゆえなのかも知れない。 しかし、ただそれだけの理由で、学校の前で本人以外に警察の聴取であることを明かすのは、あまりに常識外れなのではと思えた。 (どうもおかしなところのある人のようだし、気にするほどのことでもないのかもしれないけど……) 叶絵以外の誰かを見に来たということもありうるのではないか。 自分はあの晩、叶絵と接触した。 誰にも見られないよう注意を払ったつもりではあったが、果たしてどうなのか。 いくつかの可能性が千鶴子の脳裏を駆け巡った。 千鶴子の全神経は叶絵と切子の様子に、そして彼女自身の思考に投入された。 そして数分後―― 叶絵と切子は、特に何事も無かったかのように千鶴子たちの方へと歩いてきた。 「終わったの?」 「うん」 千鶴子の問いに叶絵は頷く。 「本当ごめんね! お待たせしちゃって」 「いえ、そちらもお仕事でしょうから」 杞憂であったかと、千鶴子は内心ほっとする。 相変わらず元気な切子に丁寧に返して、後ろを振り向いた。 「それじゃあ、文雄さん、行きましょう……か?」 振り向いた先に文雄の姿は無かった。 統治郎が一人で立ち、あっちだと指で示す。 その先には、女子生徒と話す文雄の姿があった。 女子生徒は文雄と言葉を交わしながら、時折涙を流していた。 「……なんでしょう、あれは」 「いやな。文雄が上履きで帰ろうとしてる女子を見つけてな。一体どうしたのかと……」 「声をかけにいったわけですか」 「ああ」 「まったく、少し目を離すとこれだから……」 「お、おい、千鶴子ちゃん」 留めようとした統治郎の手をさらりとかわし、千鶴子は文雄に小走りに近づいた。 「文雄さん、行くわよ。皆が待っているから早くしてちょうだい」 ハンカチを出そうとしていた文雄の腕を掴み、きつい口調で言う。 「あ、ああ、千鶴子、この人は……」 「いじめられたのね? そういうものは、他人が関わると余計こじれていじめが悪化するから、本人が先生や教育委員会に密かに訴えるのが一番よ。 あなた、ボイスレコーダーで音声をとるか、いじめられる特定の場所があるなら、そこにカメラを仕掛けておきなさい。相手が特定できないなら、クラスの何人か分の靴をあなた自身が盗って問題を大きくするといいわ。 いずれ放っておけなくなって学校が調べ始めるから。そうなったら相手も動けなくなります。当然盗るときには見つからないように。わかったわね」 早口でまくし立て、「解決よ」と文雄を連れて行こうとする。 しかし、文雄は足を踏みとどまった。 「待ってくれ、千鶴子。この子は……」 「文雄さん、皆が待っているから。迷惑をかけないようにしましょうよ」 冷たく言い放つ千鶴子。 その制服の裾を、泣いていた女子生徒が掴んだ。 「……何かしら?」 千鶴子が怒りを押し殺しているのが、文雄には充分すぎるほどにわかった。 が、当の女子生徒は怖気づくことなく、千鶴子の目をしっかりと見つめて言った。 「私は、そんなことで泣いていたのではありません」 「そう。興味は無いから、離してくれる?」 「私は……父を信じられない自分が嫌で……だから……」 また女子生徒は涙ぐんだ。 文雄が千鶴子の耳元で、そっと囁いた。 「この子の父親、例の連続少女殺害事件の容疑者らしい」 千鶴子は表情を変えなかった。 だが、心の中では頭を抱える思いだった。 ああ、またこの愛しき兄は―― 「どうしても、こういうことに関わってしまうのね」 呟いて、諦めたように文雄の腕を離した。 31 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 45 42 ID uS/qJs7j 海辺の公園――といっても、ベンチと外灯が防波堤沿いに延々並んでいるだけのものではあるが――で、一同は女子生徒の話を聞くことになった。 女子生徒の名は、三条優といった。 不動産業をおおもとに、国道沿いに複数の飲食店を経営する会社のオーナーの娘で、住んでいる場所を聞いた文雄も千鶴子も、なるほどあのお屋敷かとすぐにわかった。 三条家の長女として育てられ、言葉遣いも振舞いもごく丁寧なお嬢様である彼女の悩みは、連続少女殺害事件の容疑者と世間に思われてしまった父のことだった。 「そんなわけはないと、わかってはいるんです。でも……」 ひょっとしたら―― 世間をそう思わせ、娘である優をすら不安にさせる奇行が、父、三条英一にはあった。 「私は長女で、妹が三人いるのですが……全員血は繋がっていないのです」 血の繋がらない、四人姉妹。 優の語り出しはそれだった。 「私を含め、三条家の娘は全員が養子なのです。私が小学校四年生に上がる頃、最初の妹ができました。それ以降、中学校にあがるとき、高校にあがるとき、新たに妹ができて……今は四人姉妹となっています」 三条英一は、どこからともなく小さな女の子を養子にもらい、溺愛とも言える可愛がりぶりを見せた。 どこに行くにも一緒に連れて行く。 時には学校を休ませてでも、自分の仕事に同行させる。 その子煩悩ぶりは有名で、それだけなら微笑ましい話だったのだが、彼の行動はそれで終わりではなかった。 「新しい養子をもらうと、父はそれまでの可愛がりぶりが嘘のように、それまでの娘たちに無関心になりました。それで、私も妹たちも、昔は随分寂しい思いをしたのです」 いつの間にか近隣の者たちは、三条英一を小児愛好者だと噂するようになった。 小さな少女にしか興味を持てず、金に物を言わせて買い、育ってしまったらまた新しく取り替えるのだと。 その噂が、今回の連続殺人事件で少しでも手掛かりを得ようとする警察の耳に入り、ついに刑事が話を聞きに来るに至った。 ただ、あくまで話を聞きに来ただけで、何らかの確証があったわけではなかった。 実際、簡単な聞き取りをしただけで帰って行き、以降警察は三条家を訪れていない。 しかし、その訪問だけで、近隣の住民たちには充分だった。 小児愛好の男がついに一線を越えてしまったようだ。 そんな噂があっという間に広がり、ついに秋日高校の中で囁かれるまでになってしまった。 「父は……気にしていません。毎日、末の妹を傍において、可愛がっています。私も、他人から何を言われようが、されようが、気にはしません。でも……私自身が父のことを疑問に思ってしまって……」 ベンチに腰掛けた優は、目尻に涙を滲ませた。 「私も父には本当に可愛がってもらいました。父は家の仕事のことにも懸命で、今も私たちを養ってくれています。なのに私は……何故父があんなに次々と養子をとるのか……やはり何かおかしいのではと……」 海風が優の髪をなびかせる。 西の海に太陽が沈んでどれくらいになるだろう。 空は赤色から薄い紫に変わりつつあった。 「なるほどね……」 小さく灯った外灯に寄りかかりながら、千鶴子は呟いた。 三条優の座ったベンチの周囲に文雄と千鶴子は立ち、統治郎と叶絵の二人はすぐ隣のベンチに並んで腰掛けていた。 それぞれ手に、角間切子の奢りのジュースを持っている。 当の切子も、キリンレモンの大缶を手に、他の面々より一歩はなれたところで話を聞いていた。 千鶴子は彼女にそれとなく帰ることを勧めたのだが、優自身の希望で同席することになった。 32 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 46 07 ID uS/qJs7j 話を終えた優は、切子に問いかけた。 「どうなんでしょう。警察は、父のことを疑っているんですか? 父は……本当に……」 「いやー、そんなことはないと思うよ」 深刻な様子の優に対して、切子はあくまで軽い。 笑顔で手を振って応じた。 「証拠が無いみたいで、何でもいいから当たれるところは当たろうって方針だから。ごめんね。うちが無能なばかりにお父さんに迷惑かけちゃって」 「はあ……」 「かくいう私も連続殺害事件については情報募集中です! しばらくしたらそっちの捜査班に回されるんで! 皆さんよろしくね」 こんなにあっさり警察内の情報を出していて、大丈夫なのだろうか。 他人事ながら心配だと、その場の全員が思った。 「えーと、どうだ千鶴子。何かわかったか?」 気を取り直して、文雄が問う。 千鶴子は残念ながらと首を振った。 「今の話だけではどうにも」 「そうか……」 「というかね、文雄さん」 「ん?」 「何か、この人のことを助ける前提で話を進めようとしているみたいなんだけど、どうして?」 「どうしてって……縁というか、気の毒だろ」 千鶴子は人差し指をこめかみに当て、うめき声をあげた。 「あのね、文雄さん。全ては、この人の心持ちの問題でしょう。他人にどうされようと気にしないなら、今抱えているのは全て本人の思考に起因する、本人にしか解決できない事柄ということでしょう。気の毒に思うことなんてないわ。心ゆくまで悩んでもらえばいいじゃない」 「千鶴子、そんなことを言ったらこの世にある問題は全部当人の心持ちの問題で、悩みさえすればいいってことになっちゃうだろ。たとえばお前が何か問題を抱えているとして、それは心の整理をつければ解決することなのか?」 「む……」 千鶴子は押し黙る。 その様子を見ていた叶絵は、千鶴子が何を考えたのか想像に難くなく、くすりと笑ってしまった。 「……まあ、言い過ぎたかも知れないけれど、今回については何をどうしろというのよ」 「うーん……三条さんは、お父さんのその、奇行というか、養子を次々にとって君たちには無関心になる原因がわかれば、安心できるのか?」 文雄の言葉に、優ははっきりと頷いた。 「はい。それさえわかれば、心穏やかに過ごせます」 「ということらしいんだが……」 文雄は千鶴子を見た。 「それを、私にやれと」 「いや、当然俺もやるけどさ。でも千鶴子、お前は一応……」 文雄が口にしようとしたことを察して、千鶴子は手で制した。 「大丈夫。私は、文雄さんがどうしてもというなら、全力を尽くすわよ。でもね、私の心配もわかってくれないものかしらね」 「すまんな……」 また海風が吹き、千鶴子はスカートを押さえた。 全員が、千鶴子の方を見ていた。 千鶴子はその視線を振り払うように優の方を向いた。 「三条さん、あなた、自分でお父様には聞いてみたのかしら」 「はい、それとなく」 「結果は?」 「曖昧にされてしまいました……」 優は申し訳なさそうに頭を下げた。 千鶴子はうなだれつつ、仕方ないわねと言った。 「……三条さん、明日あなたのお宅に伺ってよろしいかしら?」 「あ……はい。それはもちろん」 「では明日の午前中に訪問するわ。今のところ解決する保障はまったくないので、そのつもりで。兄が気にして中間テストで酷い成績をとってはたまりませんので、一応は全力を尽くさせてもらいます」 33 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 46 35 ID uS/qJs7j 優が公園から去ると、千鶴子は大きくため息をついた。 「最近ため息が増えている気がするわね」 「すまん」 「いいわよ、謝らなくて。謝って欲しいわけではないから」 空はほとんど宵闇に染まり、かろうじて西の空だけが赤みを残している。 絶え間なく波の打ちつける海を眺めながら、千鶴子は言った。 「私は文雄さんに、もう少し自分自身のことを考えて欲しいのよ。テストは一つの例だけど、他の人の厄介ごとに首を突っ込んでいたら、自分のことが立ち行かなくなる時もあるでしょう」 「ああ。まあ、どうにかするよ」 「本当にね。文雄さんの素敵なところではあるけれど、もう少し時と場合を選んで欲しいものね」 「性分だからな」 「その一言で済まそうとするのは許されないわね」 千鶴子は肩越しに振り返り、文雄を見た。 厳しい口調ではあったが、その目はどこか優しく、文雄は胸を撫で下ろした。 が、その直後。 千鶴子の目は鋭くつり上がることになった。 「何て……! 何て優しいの! 素晴らしい! さすがは私の後輩! 正義感と人情味に溢れた、最高にかっこいい男の子だわっ!」 これまで以上の勢いで、もはや叫び声といえる大きさの声で言いながら、切子が文雄の手を握ったのだ。 「え、え? 角間さん?」 「いいわ! あなた間違いなく素質がある! 警察官になりなさい! ううん、警察官にしてあげる! よーし、この街の未来は明るいわね! 燃えてきたわ!!」 文雄の手をぶんぶんと振り回し、一人盛り上がる切子。 二人を引き離すようにして、千鶴子は間に割って入った。 「兄の将来を勝手に決めないでください」 「ごめん! でも嬉しくて……!」 「ジュースをありがとうございました。そろそろ遅くなりましたし、お仕事に戻られてはいかがですか?」 淡々と伝える千鶴子に、切子は腕時計を見た。 「おや、確かにそろそろまずいね。ところで、千鶴子ちゃんは、文雄君からアドバイスを求められていたけれど、こういう相談はよくのるの?」 「いえ、別に」 「そっか」 うん、と頷いて、切子はまた千鶴子の頭を撫でた。 「あなたも、ありがとう。今日は本当、いいものを見せてもらったわ」 結局全員の頭を撫でて、切子はその場を後にした。 「気にせず受け取りなさい」 と最後に言って、五百円玉を一枚、統治郎の手に握らせて行った。 「嵐のような人だね……」 誰ともなく呟いて、四人はもらった五百円玉でジュースをもう一本ずつ買い、家路についた。 34 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 48 07 ID uS/qJs7j 翌日土曜日、文雄と千鶴子は三条家を訪問した。 美山家とはまた別の地区の、山際にある広い屋敷が、三条優の住む家だった。 「最近どうもお金持ちと縁があるわね」 そんなことを言いながら、門脇に付けられた呼び鈴を押す。 応じたのは優で、すぐに邸内に案内された。 三条家は昔ながらの和風の家と、増改築による洋風建築の部分とから成っており、優の部屋は洋風建築の方にあった。 「大きなお屋敷ね」 「ええ。私はよくわからないけれど、父のお仕事は上手くいっているみたいです」 「これだけ広い家なら、家族がたくさん居ても特に問題はなさそうね」 「ええ。それに今は、下の妹二人は学校の関係で隣街の親戚の家に居るので、この家に普段居るのは父と私、母、末の妹……それと叔父の、五人だけなんですよ」 「そう」 「妹たちはなかなか帰って来なくて……寂しいものです」 廊下を歩きながらの会話に文雄は、どちらが上級生かわからんなと内心苦笑した。 「こちらが私の部屋です。散らかっておりますが……」 そう言って二人の通された部屋は、充分に整頓の行き届いた部屋だった。 部屋の中央に置かれた座卓には、すでにお菓子と飲み物が用意されていた。 「準備万端ね」 「お口に合うかはわかりませんが」 少し不安げな笑みを浮かべつつ、優は席を勧める。 三人はそれぞれ座卓の周囲に座った。 「さて、昨日聞けなかったことをいくつかお聞きしたいのだけど、いいかしら?」 「はい」 「まず、四人姉妹全員が養子だとあなたは言っていたけれど、お父様に実子はいないのね?」 「はい。居ないはずです。私たちが引き取られる以前は実の娘が居たようなのですが……事故で亡くなったそうです」 「そう、事故で」 「はい。小学校にあがる直前だったと思います」 千鶴子はなるほど、と頷いた。 「では、それから今まで、お母様に子供ができたことは無いのね」 「はい」 「一度はできているのに、できていない。何故かしら。一度目の出産の時何か問題があったとか、あるいは夫婦生活がどうなっているかとか、わかるかしら」 「そこまでは……私には残念ながら。あの、でも……」 「なに? 少しでも思い当たることがあるなら、言ってもらえると助かるわね」 「はい。あの、その亡くなった子供の母親もやはり事故で亡くなっていまして……今の母、三条望は後妻なんです」 「それは娘と同じ事故なのかしら」 「そう聞いています」 「……いずれにせよ、今のお母様は子供を産んだことが無い。ということは、体質的な問題の可能性も大いにあるというわけね」 千鶴子は考え込み、部屋に沈黙が訪れる。 事前に何も知らされていなかったので、文雄は千鶴子がどのような論理で質問を重ねているのかわからなかった。 ただ、千鶴子の考えがまとまるまでの中継ぎにと、文雄は口を開いた。 「あれかな、ご家族の写真とかあるかな。いや、もし良かったら見せてもらいたいなあと」 「はい。アルバムならこちらに」 優は背後の本棚からアルバムを取り出した。 それを見た千鶴子は、 「さすがは文雄さん。良い調べ方ね」 と文雄の膝を叩いた。 「え?」 「確かに、写真を見ればすぐにわかるわね」 「すまん。お前たちが話している間時間を潰せればと思って出してもらったんだ。特にそれ以上の理由があるわけでは……」 「あら、そう。でも助かったわ」 35 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 49 01 ID uS/qJs7j 千鶴子はアルバムを手元に引き寄せ、ぱらぱらとめくった。 やはり文雄には、千鶴子の考えはわからなかった。 ただ、邪魔をせずにおこうと思った。 「こちら、妹さんたちね?」 「あ、はい。下の二人の妹です」 「似てるわけではないのね」 「そうですね。何しろ養子ですから」 ふむ、と千鶴子は小さく応じた。 「あなたを含め、姉妹がお父様から性的ないたずらをされたということは?」 「ありません」 「お風呂などは一緒ではなかった?」 「お風呂は確かに、妹が来るまで一緒でしたけれど……特に何かされるということはありませんでした」 「そう」 千鶴子は用意されていた茶を口にした。 「今のところ、お父様は一定の年齢以下の子供に価値を見出している、と考えざるを得ないわね」 「そ、そうなんですか?」 「普通に考えれば、いわゆるロリコンの線が強いのでしょうね。あからさまな性行為はしなくても、見るだけ、触るだけで満足する方もいるでしょうし」 千鶴子の言葉に優はあからさまな落ち込みを見せたが、千鶴子は構わず続けた。 「養子を取るのは、単純に子供が欲しいからと考えれば納得いくわ。どうやらお母様との間に子供はできていないようだし。お父様の件で問題なのは、養子を取ることそのものではない。 新たに養子を取った後、それまで可愛がっていた子供に無関心となることよ。話を聞いて、亡き娘の面影を追っているのかとも思ったけれど……」 「亡き娘の?」 今度は文雄が聞き返した。 「ええ。娘の代わりになりそうな子を養子に引き取り、ある程度育てたところでやはり娘に似ていないと思い、次の娘に鞍替えする……という理屈なら、ありえなくもないと思ったのよ」 「確かに、それなら納得いくな」 「でも、先ほどアルバムで見た三条さんの姉妹は、皆似ていないのよね。実の娘の面影を追っているのなら、容姿に何か共通項があっても良いと思うのよ」 「お父上なりの共通項はあるけれど、俺たちにはわからないというだけなんじゃないのか?」 「それはその通り。大いに可能性はあるわ。でも……」 「まだ何かあるのか?」 「……これ以上は何とも。三条さん、お父様の様子を見せてもらいたいのだけど、かまわないかしら?」 尋ねながら千鶴子は立ち上がり、既に階下に降りていく気を見せている。 それに対して優は渋い顔をした。 「それが……母が……父の部屋の方にはお友達を近づけないようにと……」 「あら、そうなの」 「すみません。母は、駄目な人なんです。あの人は、父を恥ずかしく思っているんです」 「どうかしらね。お父様のことを考えての言葉なのかもしれないわよ。本人が気にしていなくとも、悪評はいつどんな形で実害になるかわからないものだし」 千鶴子の言葉に、優は俯いて答えなかった。 千鶴子はため息をつき、部屋を出て行く。 「おい、千鶴子、どこに……」 「お父様の様子を見てくるわ。古い方の家の、奥の部屋でいいのよね」 「お前な、今の三条さんの話を聞いてなかったのか?」 「聞いていたわよ。だから、こっそり見に行くのよ」 「……そういう奴だよな、お前は」 文雄は立ち上がった。 「俺も行くよ。何か無茶されたらたまらんからな」 あら、と千鶴子は微笑んだ。 「見つかったら、お手洗いを探していて迷ってしまったと言い訳しようと思っていたのだけれど。そうね、兄妹で連れ立ってお手洗いを探していたというのも、いいかもしれないわね」 36 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 50 10 ID uS/qJs7j 結局優からの助言で、千鶴子と文雄は一旦外に出て、屋敷の裏から回って三条英一の様子を見ることとなった。 簡単な見取り図を書いてもらっていたおかげで、英一の部屋はすぐにわかり、文雄と千鶴子は身をかがめてガラス戸越しに部屋の中を覗きこんだ。 広い畳の部屋の中には、児童向けの絵本やおもちゃが散乱している。 その中に中年の男が一人、胡坐をかいた脚の間に少女を抱え、座っていた。 「あれが……」 「ええ。優さんのお父様ね」 そして、抱えている娘が、優の末の妹。 あの話の通りなら、現在小学二年生というところか。 文雄と千鶴子が息を潜めて見守る中、父娘は仲睦まじく会話し、遊んでいた。 時折英一は娘の頭を撫でたり、体に触れたりするが、特に性的な部分に触れているわけではないと見て取れた。 「溺愛といえば溺愛なのだろうけど……」 仲の良い親子なら自然なコミュニケーションであろうとも思えた。 しばらくすると、部屋に入ってくる者があった。 「あなた、お昼ご飯はどうしますか?」 小豆色の着物を普段着として纏ったその女性が、襖を開けて静々と室内に歩み入る。 英一に対する呼び方から、英一の妻であり、優の養母である、三条望その人だとわかった。 「うん、何でもいいぞ。手のかからないもので」 「あら、普段お昼は外食ばかりなんですから、休日くらいは好きなものを言っていただいてかまいませんのに」 「ううむ、そう言われてもな。……咲は何が食べたい?」 英一は笑顔で、抱きかかえた娘に問いかける。 「あたし……? あたし、チョコレート食べたいよ」 「まあ、咲ちゃん。チョコレートはご飯にはなりませんよ」 言って、望はくすりと笑った。 英一も釣られるように笑った。 優から聞いていた話が無ければ、ごく暖かな家庭の風景のように、それは思えた。 37 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 54 04 ID uS/qJs7j 二人は昼を少し過ぎた頃には三条家を出た。 優は笑顔で見送っていたが、その笑顔はやはり不安な気持ちを含んだものだった。 昨日皆でジュースを飲みながら優の話を聞いた海浜公園を、文雄と千鶴子は二人きりで歩いた。 「誰も居ないな」 「まあ、公園とは名ばかりだものね」 千鶴子は防波堤の上を歩きながら、水平線の向こうを眺めている。 時折強く吹き付ける海風が、長いスカートをはためかせていた。 「千鶴子、危ないぞ」 「大丈夫よ。この幅なら、目をつぶって歩いても落ちることはないわ」 「目をつぶって歩いたら、さすがに落ちるだろう。……いや、そうじゃなくて、そんなところを歩いてたら、スカートがめくれた時に、その……見えちゃうだろう」 「あら、気にしてくれるなんて、嬉しいわね。でも大丈夫よ。誰も居ないのだし」 「いや、俺が居るだろ」 「ふふ……そんなことを気にする間柄じゃないでしょう」 スカートを摘みあげ、千鶴子は下着を露にする。 周囲を見回しながら慌てて制する文雄を、くすくすと笑って見ていた。 「ごめんなさい。少し調子に乗ってしまったわね」 「お前は本当に……何を考えているかわからんな」 「休日にこうして二人で歩くなんて、何だかデートみたいだったから」 「それは下着を見せていい理由になるのか……?」 「ならないわね」 また千鶴子は小さく笑った。 その笑顔のまま、呟いた。 「三条優さん、か……」 「解決できそうか?」 「まだ絞りきれていないけれど、解答の候補は揃ったと思うわよ」 「相変わらず大した奴だな、お前は」 「けど、もう少し調べなければいけないことがあるのよね」 千鶴子は声色を沈ませる。 「ちょうどそのあたりだったわね」 と、昨日優が座っていたベンチを見下ろした。 「ん? 昨日みんなで話を聞いたところだな」 「ええ、角間切子さんの奢りでね」 千鶴子は堤防の上で三角座りになり、うなだれた。 「……その調べなければいけないことというのが、どうもあの人の協力無しには調べられなさそうなのよね」 「角間さんの?」 「ええ。だからもう、解決できなくてもいいような気もしているのよね」 「何故そうなる」 「私、あの人苦手なんだもの」 ああ、と文雄は苦笑いした。 「わかるよ。何だかこう……エネルギーに溢れすぎた人だったよな」 「ええ。あの人とまた接するくらいなら、もういいかなって……」 「まあまて。そんなに負担なら、俺から連絡してやるから。何を聞きたいんだ?」 言って、文雄は携帯電話を取り出す。 堤防の上から千鶴子がその頭を叩いた。 「痛いな、こら」 「ちょっと、なぜあなたが角間さんのメールアドレスを知っているのよ」 「え? 昨晩直接メールが送られてきたんだよ。統治郎から聞いたんだって」 「私には送られてきていないわ」 千鶴子はひらりと堤防から降りて、文雄の携帯電話を奪った。 「まあ、文雄さんは随分とあの人に気に入られていたみたいだものね」 「どうなんだろうな。色々言ってはいたけれど」 「優さんといい、角間さんといい、文雄さんは最近素敵な女性と知り合いになる機会が多いわね。ひょっとしたらそのために色々と首を突っ込んでいるのかと、疑ってしまうわ」 やれやれと千鶴子は首を振り、俯いた。 軽口のようだったが、何故か文雄には、その時の千鶴子がいつになく落ち込んでいるように見えた。 「……あのな、千鶴子。もしも本当に嫌だったら、今回のことは、これまででお前がわかったことを三条さんに伝えて終わりにしていいぞ」 「文雄さんは、あの人の問題を解決してあげたいんでしょう?」 「できたら、な」 「……私は文雄さんの願いを叶えるって言ったでしょう?」 そうじゃないと、私の意味が無いもの。 微かな呟きは波の音に紛れて、消えてしまう。 38 ノスタルジア 第5話 ◆7d8WMfyWTA sage 2010/05/06(木) 00 55 04 ID uS/qJs7j 千鶴子は顔を上げると、文雄の携帯電話から角間切子へメールを出した。 「何を聞いたんだ?」 「優さんが言っていた、元の奥様と実の娘さんが亡くなった事故についてよ」 「それを聞くことで、三条英一氏の奇行について、何かわかるのか?」 千鶴子は首を傾げた。 「わかるというか、毒物が関わる事故でなければいいなと思って」 「……? 何でまた」 「小さい子供の使い道というものを考えるとね」 使い道とは嫌な表現だと文雄は思った。 しかし千鶴子は気にする様子も無い。 「文雄さん、子供と聞いて思いつく言葉を三つ挙げてみて」 「またいきなりだな。ええと、小さい、手がかかる、可愛い」 「最後のは不正解ね。うるさい、よ」 「そういう問題だったのか、今の……?」 冗談は置いておいて、と千鶴子は物をどかす仕草をした。 「小さい、と言ったわね」 「ああ」 「そう、子供は小さいわ。そこに愛情を感じる人もいれば、性欲を感じる人もいる。他に『小さい人間』が……『小さい人間』しか果たせない役割は何かと考えると、体積の制限か体重の制限が関わってくると思うのよ」 文雄は黙って聞いていた。 千鶴子の凛とした、知性の煌きを感じさせる表情で、宙の一点を見つめていた。 「日常の生活の中で、体積や体重の制限を考える時って、どんな時かしら?」 「それで毒物、なのか……」 「ええ。体重と致死量は比例するからね。自分と同じ日常生活を子供に送らせることで、毒見役にできるんじゃないか、なんて考えたんだけど……」 深刻な表情を見せる文雄に、千鶴子は微笑みかけた。 「心配しないで。英一氏がロリコンである可能性も同等にあるし、他の可能性もある。あくまで私の考えの一つに過ぎないんだから」 「もしお前の想像通りだったら、どうなるんだろうな」 「解決はかなり難しくなるでしょうね。だから、ただの交通事故とか、そういうものを期待しているわ」 千鶴子は携帯電話を返しながら、文雄の手を両の手で包み込んだ。 「ねえ、文雄さん。この件が解決して、中間テストが終わったら、二人でデートに行きましょう」 「え……?」 「色々思うところはあるけれど、私なりに頑張るので、ご褒美に遊びに連れて行って欲しい……んだけど、駄目かしら?」 「それはかまわないけど」 「……良かった」 文雄の手を包む千鶴子の両手には、しっとりと汗が滲んでいた。 戻る 目次 進む
https://w.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1423.html
329 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 24 56 ID fqOuGLaE 秋日高校は旧制の中学校を前身とした歴史ある高校であり、広い敷地の中には十数年前に建てられた新校舎と、それ以前に使われていた旧校舎とがある。 新校舎が灰色のコンクリートで固められた、いわゆる普通の学校建築であるのに対し、旧校舎は重厚な赤茶色の煉瓦造りの建物で、その趣のある外観は戦前から連綿と続く高校の象徴の一つともいえた。 新校舎が建てられて以来通常の授業に使われることは無くなったが、いくつかの部活が部室として教室を利用し、またいくつかの施設が中に入れられてもいる。 その施設のうちの一つに、秋日高校第二図書室があった。 秋日高校の膨大な蔵書のうち、今となっては誰も読まない本のみ残して書庫として維持されることになったのが、この第二図書室であった。 木の本棚には立派な装丁の本がぎっしりと積まれ、古い紙のどこか懐かしい香りが漂っている。 赤茶色の煉瓦が剥き出しになった壁面には大きな窓が並び、旧校舎の中庭から夕日の光を招き入れているが、それでもどこか薄暗い。 その窓際の、これまた古めかしい机を、澄川文雄と澄川千鶴子、そして夏江統治郎の三人が囲んでいた。 机の上には、千鶴子が持ってきたデジタルハンディカムが置かれていた。 その小さな画面に流れている映像――ガラス戸の向こうに蠢く男と女の姿に、統治郎は呻き声をあげ、頭を抱えていた。 「おい……おい……これは何の冗談だ? 冗談だろ? 冗談だと言ってくれ……」 「現実ですよ、夏江さん」 統治郎の呻きに、千鶴子が応じた。 「彼女の言っていた人殺しとは、堕胎のこととみて間違いないでしょう。この交わりの中でも、以前妊娠をしたと思われる発言をしています」 三人のほかは誰もいない部屋の中に、千鶴子の声が響く。 絶望的な表情で画面を見る統治郎と対照的に、千鶴子はいつものすまし顔だった。 「どうしますか、夏江さん」 「どう……とは?」 「美山叶絵さんのことです。彼女について、まだ調べてみますか? あるいは、現状がお気に召さないなら、何らかの手を打ちましょうか?」 ただ、と続いて、千鶴子は文雄の顔を見た。 「その場合、また文雄さんが私に付き従うよう言っていただく必要がありますけれど」 千鶴子の視線に、文雄は思わず顔を背けてしまった。 昨日の、あの信じがたい出来事が頭をよぎった。 叶絵が虐待を受ける様を見ながら、実の妹の口による愛撫を受け、射精してしまった。 相変わらず千鶴子は平然と文雄に接してくるが、文雄は以前よりもさらに千鶴子を避けるようになっていた。 なので、統治郎が首を横に振ったときは、心の底からほっとした。 「いや、昨日の今日でここまで調べてくれただけで十分だ。後は俺が何とかする。何とかしなきゃ駄目なんだ」 統治郎は決意に満ちた目で言うと、立ち上がった。 「この映像はどうしますか?」 「ああ、千鶴子ちゃんが持っててくれ。俺みたいなおおざっぱな人間が持っていたら、どうなるかわかったもんじゃない」 「では、必要になった時には言ってくださいね」 「ああ。それじゃあ……」 鞄を引っ掴み、今にも駆け出して行こうとする統治郎に、文雄が声をかけた。 「お、おい、どこに行くんだよ」 「こうしては居られん。今夜もあいつは叶絵を弄ぶかも知れないんだ。叶絵に会いに行く」 言うが早いか、統治郎は走って図書室を出て行ってしまった。 後に残されたのは、文雄と千鶴子の二人きり。 机を挟んで向かい合う二人の間に、さらに赤みを増した日の光が射した。 330 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 25 52 ID fqOuGLaE 「残念だったわね、文雄さん」 「……何が?」 「夏江さんが居れば、私と二人で帰ることにならずにすんだのに」 「何をわけのわからないことを……」 「……」 「帰るぞ」 無言で見つめてくる千鶴子の視線を避けるようにして、文雄は机の脇に置いた鞄を手に取り、席を立つ。 出口に向かって歩き出したその腕を、追いすがった千鶴子が掴んだ。 五本の細指が、学生服にしっかりと食い込む。 その意外な力強さに、文雄は思わず千鶴子の方を振り返っていた。 「な、何だよ……」 「文雄さん、さっきほっとしたでしょう」 「さっき?」 「夏江さんが、私の申し出を断った時よ。これ以上私と一緒に居なくて済むって、安心したでしょう」 「そんなことは……」 言いかけて、文雄は口を閉じた。 自分を見つめる、強い光の宿った瞳。 その瞳の前には、どんな嘘もごまかしも無意味だと思った。 「ああ……」 「どうして? そんなに私と一緒にいるのが嫌なの?」 「……聞きたいのはこっちだよ。何でそんなに俺を付き従わせたがるんだよ」 「昨日も言わなかったかしら。文雄さんが私を避けるから、傍に置いておこうとしているだけよ。文雄さんが私を避けなければ、何もしないわ。悪いのは初めに私から離れた文雄さんなんじゃないかしら」 「た、確かに避けてたのは悪いと思うよ。けど……そもそもお前があんなことするから……」 「あんなことって?」 真顔で千鶴子は聞いてきた。 「私、何か悪いことをしたかしら?」 「そ、それは……お前……」 「文雄さんとセックスしたいと言ったり、文雄さんのアレを口でしたりしたことかしら」 表情を変えずに言い切る千鶴子に、文雄の方が赤面してしまった。 なぜこの娘は感情を動かすことなくこんなことを口に出来るのか。 「……そうだよ。だから俺は……」 「わからないわ。私がそうしたことでどうして文雄さんが私を避けるのか。そんなにいけないことなの?」 「いけないことに決まってるだろ!」 「そう言うわりには……」 千鶴子が文雄の胸に顔を埋める。 図書室の床に伸びた影が一つに重なった。 「文雄さん、しっかりとここを固くしていたわよね」 千鶴子の手は、文雄の股間に触れていた。 文雄は慌てて離れようとしたが、千鶴子はもう片方の腕を文雄の背中に回し、それを許さなかった。 「文雄さんも気持ちよかったのでしょう? だったらいいじゃない」 「良くないだろ! お前、おかしいぞ!? 何であんなことするんだよ! ああいうことは、軽々しくするもんじゃ無いだろ!」 「これも場合分けよね」 千鶴子は淡々と言った。 331 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 27 23 ID fqOuGLaE 「文雄さんの中では、ああいったことは軽々しくすることではない。ではなぜ私はあんなことをするのか。 一つは、私が文雄さんとは違った考えを持っていて、ああいったことを軽々しくしてもいいと考えている。私が淫乱な女である場合。 もう一つは、私が文雄さんと同じ考えを持っていて、それでもああいったことをした場合。どちらだと思う?」 「お前は……俺と同じ考えだと思う……けど……」 文雄の言葉に、千鶴子は微かに笑みを浮かべる。 「後者だとしたら、さらに考えなければならないわね。軽々しくすることではないと考えているのに、なぜ私は文雄さんに対してあんな言動をとったのかを」 「それは……」 「単純な話、私にとってあれらの言動は、軽々しい動機のもとで行われたものじゃないということになるわよね。ねえ、文雄さん……」 千鶴子の体が文雄から離れる。 手はしっかりと文雄の腕を掴んでいた。 「その動機が何か、わかる?」 「え……」 「わからない?」 「また……『面白いから』か?」 千鶴子の手に一瞬力がこもり―― 「そうね。わかってるじゃない」 いつもと変わらぬ声で、そう言った。 「私にとって好奇心を満たすことはとても大切なこと。そして文雄さんは私にとっていつでも最高の興味の対象。だから文雄さんとセックスをしたいと思ったし、文雄さんに口唇愛撫をしたいと思ったの」 「お前……その考え方は普通じゃないぞ」 「普通じゃなくてもかまわないわ。私は自分の興味を追求することができて、文雄さんは快楽を得ることができる。双方に利益があるんだから、それでいいと思うけど」 「俺はいいとは思わない。今千鶴子が言った利益とやらよりも、自分の倫理観を侵される不利益の方が大きいんだ」 きっぱりと言う文雄を、千鶴子は目を細めて見た。 「倫理観、か……文雄さんはいつでもそれを一番にしているのね」 「千鶴子が好奇心を一番にしているのと一緒だよ。譲れるものじゃない」 「そんなもの後生大事にしても、何の得も無いでしょうに」 「前にも言ったけど、損得の問題じゃないんだよ。そうやって生きることが自分にとって一番心地よいからそうしてるだけだ」 「理解を越えるわね。まあ、だからこそ文雄さんは面白いんだけど」 微笑んで、千鶴子は文雄の腕から手を離した。 「先に帰ってて。私はここの戸締りをしていくから」 「……ああ」 気付けば床に伸びた影もだいぶ長くなっていた。 入り口へと歩き、図書室の扉に手をかける。 その文雄の背中に、千鶴子が声をかけた。 「文雄さん、今まで私が、自分の興味の対象を諦めたことがあったかしら」 「……」 文雄はそれには答えず、図書室を出た。 332 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 29 05 ID fqOuGLaE どうやれば千鶴子の興味を自分からそらせられるのか。 それ以前に、性的なものに強い関心を寄せるのはよろしくないと諌めるべきなのか。 あの不思議な妹との関係をどうすればいいのか。 文雄はその夜悩みに悩み、結局ほとんど眠れないまま学校に行くことになった。 いかにも疲れた顔で教室の戸を開いた文雄だったが、そこにはさらに疲労を顔に滲ませた統治郎の姿があった。 「おい、酷い顔だな。どうした」 文雄が声をかけると、統治郎は苦笑した。 「お前もなかなかに酷い顔だが……そうか。俺はそんなに良くない顔をしているか」 「一応言っておくと、顔の造りが悪いとかそういう意味じゃないからな」 「なかなかの冗談だ。少しは元気が出たかも知れん」 はっはと笑うも、いつものような覇気が無い。 「……叶絵ちゃんのことか?」 「まあ、そうなるな」 「昨日話をすることはできたのか?」 「できたにはできたが……」 良い内容ではなかったことは、統治郎がその姿で物語っていた。 二人はその日の午前の授業に出るのをやめて、第二図書室で休みながら話をすることにした。 「とりあえず、叶絵に言ったんだ。その……虐待されてるんだろうって」 「言ったのか……」 「ああ。お前たちの名前は出していない。俺が金を払って独自に調査を依頼したことにしてある」 「それで、どんな反応だったんだ?」 「そこが問題なんだがな……」 統治郎に家の近くの公園に呼び出され、作蔵との関係のことを言われた叶絵は、顔を青ざめさせた。 「それを言って……どうするつもりなの?」 「どうもこうも、かなちゃん、お前を助けたいんだよ」 統治郎は必死になって言った。 「夏江の家に来い。今なら俺はかなちゃんを守ってやれる。あの男からも、他の親戚からも……」 彼の言葉に偽りは一切無く、ただ自分の大切な従妹を助けたいという思いに突き動かされていた。 しかし、対する叶絵の態度は冷たいものだった。 「別にいいよ、守ってもらわなくて」 「かなちゃん……」 「そうだよ。確かに私はあの男にやられちゃってる。毎日毎日。でも、今更気にしたってしょうがないし」 「……辛くないのか、今の暮らしが」 統治郎の問いに、叶絵は顔を伏せた。 「辛いよ……凄く辛い」 「だったら……!」 「作蔵さんはね、心臓を患っているの」 「……?」 「私が居なくなったら、一人になっちゃう。一人になって、きっとそのまま死んじゃうよ」 ぽつぽつと呟く叶絵の肩を統治郎は力強く掴んだ。 「あんな奴……あんな奴、死んだところで、何がいけないっていうんだ!? あいつはお前を……!」 「確かに最低な人だけど、誰も居ない時にあの人が家族になってくれたのは事実なんだよ」 「でも、それで辛い思いをしているんだったら、恩を感じることなんて無いだろ!? あいつはそもそもお前をいいようにするために家族になっただけかも知れないだろ!」 「そうだね……たぶんそう」 統治郎の熱い叫びに対して、叶絵はあくまで冷めた口調だった。 「でもいいの。私は美山叶絵で居る」 「かなちゃん……」 「統にい、もう私にはかまわないで」 「そんなことできるわけ……!」 言いかけて、統治郎ははっとした。 叶絵は涙を流していた。 まるでそこに太い杭が刺さったかのように苦しそうに胸を押さえて。 「私は、この生き方で、大丈夫。これが一番なの。だから……放っておいて」 肩に置かれた手を振り切るようにして、叶絵は駆け出した。 統治郎は彼女を追いかけることはできなかった。 333 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 29 45 ID fqOuGLaE 「なあ、文雄、俺はどうすればいいんだ? あいつを放っておくべきなのか? 辛くても、あの生活を続ける。それがあいつの望みらしいんだ。俺はそれを受け入れていいのか……?」 「いや、良くないだろ」 頭を抱える統治郎に、文雄はきっぱりと言った。 「あれは立場の強さを盾にした虐待だよ。本人が辛いと言ったのなら、そこから救い出してあげるべきだと思う」 「しかし、辛くても、今のままでいいと言ったんだ」 「本人がいいと言えば、麻薬漬けになることも自殺することもいいって言うのか? 俺はそんなの絶対に認めんぞ」 文雄の口調が熱の篭ったものになる。 統治郎は黙ってその言葉を聞いていた。 「辛くても今の状態がいい? 辛くない方がずっといいに決まってるだろ。彼女は今よりも幸せな未来があることを知らないだけだ。お前がそれを教えてやらないでどうするんだよ」 「文雄、お前は……本当に真っ直ぐだな」 「そんな考え方は疲れるだけだとか無駄だとかってんなら言うなよ。いつも千鶴子に言われてうんざりしてるんだから」 統治郎は苦笑した。 「そんなこと言うかよ。改めて、凄い奴だと思っただけだ」 そう言って、膝をぽんと打った。 その表情から迷いは消えていた。 「よし、となると、どうやって叶絵を救い出すかだ。文雄、何か良い方法はあるか?」 「美山さんは十五歳を過ぎているから、養父母を自分で選べるし……本人を説得するのが一番いいんだろうけど……」 「あの様子だと、それは難しそうだ」 「話を聞くに、そうだろうな」 どうしたものかと文雄は考えた。 結局、本人が現状を受け入れてしまっている以上、外部から無理矢理作蔵と叶絵を引き離す以外方法は無いように思われた。 「警察か児童相談所に相談するのが一つ。あとは……美山作蔵と直接話をするのが一つかな」 「作蔵に?」 「ああ。あまり大事にすると、美山さんの周囲にまで話が伝わる可能性がある。美山さんも、学校の人たちに自分が性的虐待を受けていたことを知られたくはないだろう。 だから、警察や相談所を介さないで、美山作蔵に内密に話をしにいく。虐待の事実を警察に知られたくないなら美山さんを解放しろ、とね」 「なるほど……」 統治郎は頷いた。 「いずれにせよ、例のビデオは必要か。あれを持っているのは千鶴子ちゃんだよな」 「ああ」 「千鶴子ちゃんは、何か手を打とうかとも言っていたが……」 「俺があいつに付き従えばな」 文雄と千鶴子が何やら複雑な関係にあることは、統治郎も気付いていた。 千鶴子は頼りになるが、親友である文雄に無理を言うのは、統治郎としても本意でなかった。 「……わかった。今回は千鶴子ちゃんに頼むのはやめておこう」 「そうしてもらえるとありがたい。お前にまた土下座された日には、俺は断り切れないからな」 話がひと段落付くと、昨晩眠りの浅かった二人を猛烈な睡魔が襲った。 「おい統治郎、床で寝るのって意外と気持ちが良いぞ」 「お、本当だ。冷たくていいもんだな、こりゃ」 そうして、男二人は、図書室の床で午前中を寝て過ごした。 334 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 31 00 ID fqOuGLaE 二人が起きたのは、昼休み、いつものように教室を訪れて兄の不在を知り、学校中を探し歩いた千鶴子が、第二図書室にたどりついてからだった。 「……二人、死んでいるのかと思った」 千鶴子は、弁当の重箱を机の上に置き、起きたばかりの二人に食べるように勧めた。 「どうぞ」 「ありがとう、千鶴子ちゃん」 統治郎は喜んで手をつけたが、文雄は腕を組んだまま動かない。 「どうしたんだ、文雄。美味いぞ」 「……俺は先日、千鶴子にもう弁当は作らないでいいと言ったんだ。だからいらないよ」 それを言ったのは二日前の話。 腹が減っているとはいえ、自分の言を簡単に翻すのは、文雄の好むところではなかった。 「文雄さん、何をするにしても、食は大事よ。考えるのも、動くのも、元になるエネルギーが無ければできないのだから」 「後で適当に食べるさ」 「また購買のパンを? おなかは膨れても、栄養なんて無いのに」 「それで十分だよ」 「強情ね、相変わらず」 文雄と千鶴子の視線が机を挟んでぶつかる。 先に折れたのは、千鶴子だった。 「仕方が無いないわね……」 軽く息をつき、改めて千鶴子は文雄に問うた。 「それで、どうして授業を休んだりしたの? 夏江さんが文雄さんをよろしくない遊びに誘ったのかしら?」 「い、いや、違うぞ、千鶴子ちゃん。授業よりも大切なことがあってだな……」 慌てて否定する統治郎に、千鶴子はしかし、冷たい態度を崩さない。 「授業よりも大事なこと?」 「なんだっていいだろ。それより千鶴子、例のビデオ、統治郎に渡してやってくれ」 「なるほど」 文雄の言葉に千鶴子が頷いた。 「叶絵さんのことね。夏江さん、昨日会ったんだものね。どうだったのかしら?」 「……」 文雄も統治郎もすぐには答えない。 黙り込む二人に、千鶴子は苦笑めいた表情を浮かべた。 「警戒されているわね。大丈夫、ただ話を聞くだけだから、文雄さんをどうこうとは言わないわ」 「助言や協力を求めたら?」 「前に言ったように、相応の報酬をいただくことになるわね」 文雄はため息をついた。 「だったらお前に話す意味は無いだろう。その報酬とやらを払う意志が俺に無い以上、聞かせるだけで得るものがないんだから」 「助言くらいだったら、このお弁当を残さず食べるという条件でいいんだけど」 文雄は少し考え込んで、頷いた。 「……わかった。残さず食べよう」 「そうしてちょうだい。文雄さんの体が食品添加物に侵されていくと思うと、私も気が気じゃないから」 「お前は俺の保護者かよ……」 「年齢からすると、女房と言う方が正しいんじゃないかしら」 ひたりと見据えて言ってくる千鶴子に、動揺してしまう。 その心の動きを悟られないように、文雄は努めて落ち着いた声を出した。 「またお前は……そんなに俺で遊ぶのが面白いのか?」 「そうね」 千鶴子はどこか穏やかな雰囲気になり、改めて聞いた。 「それで、叶絵さんとの話はどうなったの?」 「それがだな……」 応じたのは統治郎だった。 統治郎は先ほど文雄にした話を、今度は千鶴子に語って聞かせた。 335 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 31 46 ID fqOuGLaE 「なるほど。叶絵さんはそんなことを言っていたの」 納得したという風に、千鶴子は頷いた。 「それで、あのビデオを欲しがるということは、二人でどうにかしようと考えているわけね」 「……美山さんを助けるにはあれが必要なんだよ」 「助ける、ね。文雄さん、私なりに助言をさせてもらうと、彼女とはもう関わらない方がいいわよ」 眉をひそめる文雄に、千鶴子は淡々と言った。 「みんな不幸になるだけだから」 「……どうしてだよ」 「彼女は、辛くても放っておいて欲しいと言ったんでしょう? ならそうしておくのが一番よ」 「その辺は統治郎とも話したけどな。本人がいいと言ったからって放っておけるものじゃないだろ」 「それにしたって、文雄さんのやり方はよろしくないわ」 「どこがどうよろしくないんだよ」 「それを言うのは協力の域にまで入ってくるわね。文雄さんがまた一つ、条件を聞いてくれるというなら話すけど」 重い沈黙が訪れた。 いかにも不快そうな表情で妹を見る兄。 まったく気にした様子も無く、いつもながらの無表情でその顔を見つめる妹。 両者を間近にして、統治郎は心中穏やかではない。 「その条件っていうのは、俺に付き従えとか、そういうやつか」 張り詰めた空気の中、先に口を開いたのは文雄だった。 「そうなるわね」 「だったら駄目だ」 「文雄さん、悪いことは言わない。今度の件については、私を頼った方がいいわよ」 「そうだな、お前は本当に良くできた妹だし、頼れるものなら頼りたいよ。だけどな、その条件は呑めない。俺はお前の好奇心を満たすためにいるわけじゃないんだ」 統治郎が聞いているため、文雄は表現に気を遣って千鶴子に言った。 「お前の望むところは、俺が許容できる物事の範囲を逸脱してるんだよ」 「それはわかってる。普通に言っても聞いてもらえないとわかっているから、こうして取引の形をとっているんじゃない」 「……千鶴子、お前はさ。この先ずっと、何かあるたびに、こうやって俺を取引で縛りつけようとするのか? 自分の欲求が満たされない限り、ずっとこうやって……」 「ええ。ずっとずっと、私の願いが叶うまで、最大限の努力を続けるでしょうね」 千鶴子は自らの両手を開き、見つめた。 「そして絶対……逃がしはしない」 虚ろな眼差しだった。 見慣れたはずの妹の姿が、突如異質な、触れてはいけない何かのように感じられ、文雄は思わず席を立った。 その文雄を、千鶴子の妖しく揺れる瞳が見上げた。 「どうするの?」 「どうするもこうするも無い。自分の力で解決しなければならないんだってことが、よくわかった」 絶対に、千鶴子の力を借りては駄目だと思った。 今力を借りているようでは、これから先の人生でも困難に出くわすたびに千鶴子に助力を請うようになり、いつか絡め取られてしまう。 「お前なんて居なくてもやってみせるさ」 「いいのかしら、そんなことを言って。後で状況が不利になった時に泣きついたとして、条件はさらに厳しいものになるわよ」 「……そもそも、お前の言うとおりに、みんな不幸になるとは限らないだろう」 「なるわよ。私には見えるの」 実際、千鶴子の言葉を信じる理由は何も無い。 不安を煽るようなことを言ってはいるが、明確な根拠を口にしてはいないのだ。 しかし、千鶴子の知性に裏打ちされた言葉には、不思議な重みがあった。 得体の知れない恐怖感が文雄の胸に湧き上がり、やはり千鶴子の助力を得た方がいいのではと考えてしまう。 美しく澄んだ双眸。 虚ろで、底の見えない黒い色。 幼い頃、千鶴子はこの瞳で、足をもいだ虫たちがのたうちまわる様をじっと見ていた。 そして今、彼女は自分を見つめている―― 文雄は恐怖感を振り払うように、はっきりと言った。 「俺は、お前の玩具にはならない」 そのまま去ろうとする文雄に、千鶴子が声をかけた。 「文雄さん、お弁当」 「……!」 「どうぞ」 手渡される弁当の包みをひったくるようにして、文雄は図書室を出た。 336 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 32 22 ID fqOuGLaE 「おい、いいのか、文雄よ」 統治郎が文雄に追いついたのは、旧校舎から新校舎への渡り廊下を半分ほど行ってからだった。 文雄はいつになく早足で、感情が揺れていることが見て取れた。 「いいのかって、何がさ」 「千鶴子ちゃんとのことだよ。あんな言い方は……」 「俺だけじゃ不安か、統治郎」 しかめ面で言う文雄に、統治郎はアホかと応じた。 「そんなことを言ってるんじゃない。兄妹なんだから、もっと仲良くした方がいいと言ってるんだよ」 「俺だって仲良くしたいさ。でも、あいつにその意志が無いんだからしょうがない」 「千鶴子ちゃんは、お前に避けられて寂しかったから、あんなことを言ってるんだろう。いいじゃないか、一緒に居てやれば……」 「お前は、あいつが本当はどういう奴か知らないからそんなことが言えるんだよ!」 文雄の勢いに押されて、統治郎は思わず一歩引いてしまった。 確かに、先ほど図書室の中で、千鶴子にどこか違和感を感じはした。 二人の会話が、何かを隠してのものだということも、何となくはわかった。 しかし、何が文雄をそこまで怯えさせるのか、事情を知らない統治郎には理解できなかった。 統治郎の中では、千鶴子は稀に見る出来の良い娘という認識のままであった。 「……なあ文雄、千鶴子ちゃんと、何があったんだ?」 「あいつの悪い癖が俺に向いたんだ」 「悪い癖?」 「何でも自分のいいように弄ぼうとする。それを見て心から楽しんでいるんだよ、あいつは。昔からそうだった」 憎々しげに文雄は言った。 以前から抱いていた不安が確信に変わり、文雄は千鶴子への負の感情を昂ぶらせていた。 自分や両親も千鶴子にとってはただの観察対象に過ぎないのではないか。 自分が千鶴子に家族としての愛情を抱いていても、千鶴子は何の感情も抱いていないのではないかという不安。 考えすぎだと思った時もあった。 しかし、今回の件で、やはり千鶴子は自分を弄ぶ対象としてしか見ていないことがわかってしまった。 文雄はどこか裏切られたような気持ちだった。 「統治郎、美山さんの件、俺に任せてもらえないか?」 「仮にも俺の従妹だから、後は俺がなんとかしようと考えているんだが……」 「頼む、やらせてくれ。俺の手で解決したいんだ。俺自身が千鶴子の言葉を覆す力を持っていることを証明したいんだ。そうじゃないと、俺はこの先ずっと……千鶴子の言葉に怯えることになる」 勝手なことを言っているとはわかっていた。 断られても仕方がないと思っていた。 しかし、統治郎は、文雄の言葉にやや逡巡しながらも頷いた。 「そうだな……そもそも俺は叶絵を助けるか否か迷っていた身だ。お前に任せるのがいいのかも知れんな」 「すまんな」 「謝る必要は無いがな、成功させてくれよ」 文雄は頷いた。 それほど困難は無いように思えた。 ただ美山作蔵のもとを訪れて、例の映像を盾に、叶絵を解放する事を了承させる。 こちらが弱味を握っている以上、難しい交渉にはならない。 「ただ……美山さんがいる場ではできない交渉だな」 叶絵本人が恐れからか恩義からか、作蔵のもとを去ることに積極的でない以上、彼女が同席したら強気で押せなくなる。 そもそも、あの映像を出すこと自体気が引ける。 「統治郎、俺はもう、今から美山作蔵と話をしに行くよ」 「今から?」 「ああ、そうすれば、美山さんはいないしな。お前は放課後、美山さんを無理矢理にでもお前の家に連れて行ってくれ。それで全部終わる」 そう、全て終わる。 千鶴子の言うような不幸など、起こり得ない。 文雄は午後の授業も休んで、美山家を訪れる決意をした。 ただ、千鶴子との約束どおり、弁当を残さず食べることは忘れなかった。 337 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 33 08 ID fqOuGLaE 妙な感じがする。 統治郎がそう思ったのは放課後、一年生の教室に叶絵を訪れ、その不在を聞いた時だった。 「いないって……今日は学校に来ていなかったのかい?」 「いえ、早退したんです。体調が悪いからと言って……」 「何時ごろ?」 「五時間目の途中でした。授業中に、突然……」 叶絵の同級生から話を聞いた後、統治郎はすぐに叶絵にメールを出した。 そして、文雄にも。 双方から返信のメールは無かった。 「五時間目の途中……」 文雄が美山家に着いて話し合いを始めたとしたら、そのくらいの時間ではなかろうか。 どうしてよりにもよってその時間に、叶絵が学校を早退するのか。 奇妙な時間の一致が、統治郎の不安をさらに高めた。 統治郎は放課後のざわめきに溢れる校舎を走った。 向かった先は第二図書館だった。 扉を開けると、カウンターには千鶴子が一人座り、本を読んでいた。 それ以外、室内には相変わらず人は居ないようだった。 「あら、夏江さん、いらっしゃい。文雄さんなら来ていませんよ」 「その文雄の話なんだ!」 息を切らせて言う統治郎に、千鶴子は本を閉じた。 「お聞きしましょうか」 統治郎は、文雄が昼休みに美山家に交渉に向かったこと、五時間目の途中で叶絵が早退したこと、現在文雄とも叶絵とも連絡が取れないことを、矢継ぎ早に話した。 「というわけなんだが、どう思う、千鶴子ちゃん。俺は何だか嫌な予感がするんだ」 「どうもこうも、やってくれましたね」 言いながら、千鶴子はてきぱきと戸締りの準備をした。 「今日はもう閉館です。急ぎましょう」 校門を出てすぐに、千鶴子はタクシーを拾い、それに統治郎と共に乗り込んだ。 運転手に告げた行き先は、美山家だった。 「どれくらいかかりますか?」 「道路の混み具合によるけど、二十分くらいかね」 運転手の言葉に、千鶴子は小さく舌打ちをすると、統治郎を睨みつけた。 「夏江さん、なぜ文雄さんが行くことになったんですか? あなたの従妹の問題なのだから、あなたが行くのが筋でしょう」 それは、統治郎が初めて見る千鶴子の感情らしい感情だった。 剥き出しの敵意に動揺しながら、統治郎はあるがままを答えた。 「文雄が、自分に任せてくれと言ったんだ」 「文雄さんが? あの人はお節介でも、でしゃばりな人ではないはずですが……」 「それは……」 「何です? 遠慮なく言ってください」 統治郎は、昼休みに聞いた言葉を言っていいものかどうか迷ったが、千鶴子に促されて口を開いた。 「千鶴子ちゃんの言葉を覆す力を持っていることを証明したいと……文雄はそう言っていたよ」 「……!」 千鶴子は頭を抱えて呻いた。 「失敗……最悪の失敗だわ……私としたことが……」 綺麗な黒髪が方から流れ落ち、統治郎からその表情は見えなくなった。 ただ、喉の奥から搾り出されるようなかすれ声が、小さく聞こえてきた。 「でも予想外……こんな……もし……あの男……でも生きて……の場合……が……になって……利用……」 何を言っているのか、内容は掴めなかった。 ただ、千鶴子の様子が尋常のものではないことは、誰が見ても明らかであった。 「ち、千鶴子ちゃん、大丈夫かよ?」 話しかけても千鶴子は反応しない。 運転手もバックミラー越しに、気味悪そうに千鶴子を見ていた。 十分ほどして呟きが止まり、千鶴子は不意に顔をあげた。 「ち、千鶴子ちゃん?」 「はい?」 「大丈夫?」 「ええ、特に変わりありませんが、何か?」 統治郎の方を向いたその顔は、いつもの美しく整った澄川千鶴子だった。 338 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 35 35 ID fqOuGLaE 「運転手さん、止めてください!」 美山家近くの道に差し掛かった時、突如千鶴子が声をあげた。 言われた通り、数秒後にはタクシーは道の脇に停車する。 「夏江さん、払っておいてください」 財布を統治郎に投げて、千鶴子は転がるようにタクシーを降りた。 「文雄さん!」 千鶴子が見つめる先には、道を歩いてくる文雄の姿があった。 どこか憔悴したように見える兄に向かって、千鶴子は駆け出した。 「文雄さん!」 「……! 千鶴子……」 「良かった……心配したのよ」 「心配……?」 「あの男のところに一人で行っていたんでしょう? 怪我はしていない? 大丈夫?」 問いかけて、千鶴子は文雄の体に触れようとする。 が、その手を文雄はやんわりと押しのけた。 「ああ……うん。大丈夫だよ。気にしないでくれ」 「……そう?」 千鶴子は一歩引いて、まじまじと文雄の顔を見た。 「本当に、怪我はしていないのね」 「ああ」 「何もされなかった?」 「ああ、大丈夫だ。心配かけたな」 「そう……」 文雄は近付く千鶴子を拒絶するわけでもなく、ただ力なく問いに答えた。 そんな文雄を、千鶴子はそれ以上は追及しなかった。 しかし、文雄を見つめる視線はより鋭く、厳しいものになっていた。 「文雄! どうだった?」 遅れて統治郎もやって来た。 その問いかけに顔を俯かせ、 「駄目だったよ……」 文雄は言った。 「途中から、美山さんも来てさ。押し返されてしまった」 「やっぱり、叶絵はあいつに呼ばれて早退したのか……」 「今のままでいいんだってさ。もしあのことを他の人に漏らしたら、一生恨むとまで言われたよ」 そして、統治郎に向かって深々と頭を下げた。 「すまん」 統治郎は頭を掻いた。 「お前が押し切られたんなら、俺でもそうだったろうよ。何しろ俺は、叶絵を追うことができなかったんだ」 そうは言っても、統治郎の顔から落胆の色は隠せない。 文雄もそれ以上は口を開かず、気まずい空気が流れた。 「それについてはまたお話しするとして、今日はもう帰ってもよろしいですか? 文雄さんも疲れているようですし」 千鶴子が、文雄に寄り添いながら言った。 「あ、ああ。それじゃあ千鶴子ちゃん、タクシーを使ってくれ。適当な額を払っておいたから」 「夏江さんがですか?」 千鶴子は返された財布の中身を見て尋ねた。 「行きの分も払っていただいたようですね」 「ああ、気にせんでくれ」 「借りを作るのは好みませんが……今回はお言葉に甘えさせていただきます」 千鶴子は頭を下げて、文雄の手を引いた。 そうしてタクシーに乗り込むと、車内から一礼して去って行った。 後に残された統治郎は、少し先の高台にある美山の屋敷を見た。 「駄目だったか……」 春だけあって日は長く、ようやく西の空が染まり始めた頃合いだった。 「どうすりゃいいんだ……」 統治郎の呟きは、海風の中に消えた。 339 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 43 58 ID fqOuGLaE 家に帰ると文雄はそのまま風呂場に向かった。 「文雄さん?」 「ちょっと汗かいたから……風呂に入るよ」 「なら、湯船を入れるわ。少し待っていてちょうだい」 先んじて風呂場に向かおうとする千鶴子を、文雄が止めた。 「いや、シャワーでいいから」 「でも……」 「いいから! 早く入りたいんだよ……」 文雄の剣幕に千鶴子はそれ以上何も言わず、制服の上着を受け取って脱衣場を出て行った。 文雄は無言で熱いシャワーを浴びた。 とにかく、自分の体を洗い流したかった。 流れる温かい水の筋に沿って、自分の体を見る。 どちらかというと色白な肌の、ちょうど腹のところに、青黒い痣が出来ていた。 つい数時間前までは無かった痕を見て、気付いたら文雄は涙を流していた。 「最低だ……」 湯が床のタイルに跳ねる音の中に、震える声が響いた。 突如、浴室の扉が開いた。 立っていたのは、部屋着に着替えた千鶴子だった。 白のブラウスに、黒のスカートという姿のまま、千鶴子は浴室に入ってきた。 足だけは素足だった。 「な、何だよ……!」 「辛そうな声が聞こえたから」 言って、千鶴子は一歩文雄に近付く。 「べ、別にそんな……何も言ってないよ」 「ううん。文雄さんの辛そうな声が聞こえたわ。文雄さんがお風呂に入ってからずっとここに居たから、わかるの」 「ずっとここにって……」 浴室と脱衣場を隔てる薄いガラス戸。 その向こうで、妹がずっと自分の挙動を聞いていた。 何のために―― 文雄は逃げ出したい衝動に駆られたが、既に壁際に居たため、それ以上千鶴子から遠ざかることもできなかった。 ただできることは、局部を見せないように壁のほうを向いていることだけだった。 「文雄さん、頭隠して尻隠さずね。いえ、ちょっと違うけれど……ともかく、お尻は丸見えよ」 千鶴子の言葉に、文雄は慌ててその場にしゃがみこんだ。 「お、お前な! 男の入浴中だぞ!? 何しに来たんだよ!」 「何しに? 決まってるじゃない。文雄さんの体を見に来たのよ」 千鶴子はしゃがんでいる文雄の両肩をがしりと掴むと、そのまま力任せに文雄を床に転がした。 「おわ……!」 堪えようとするが、駄目だった。 文雄はあっさりと仰向けにされ、ちょうど千鶴子に押し倒されるような形になってしまった。 340 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 46 11 ID fqOuGLaE 「しゃがんでいると、腰と足先の距離が縮まるからね。モーメントの問題。非力な私でも簡単に転がせるようになっちゃうのよ」 「お前、な、何を……」 「お尻を見せているだけの方が、まだ良かったかしら」 千鶴子は文雄に馬乗りになり、その体を見下ろした。 シャワーがあたり、白いブラウスの下の下着がうっすらと透けたが、気にした様子も無かった。 文雄は何とか千鶴子から逃れようとしたが、いわゆるマウントポジションをきっちりと取られていて、抜けられそうもなかった。 「文雄さん、怪我をしているわね」 千鶴子の指先が、文雄の腹についた青痣に触れた。 「どうしたのかしら、これは」 「……ずっと前からの怪我だよ」 「そんなはずはないわ。昨日の夜はついていなかった痣だもの」 どうしてこの妹は昨晩の自分の体の状態を把握しているのか。 文雄は疑問に思ったが、それを口にする猶予は与えられなかった。 「文雄さん、あの男に口止めをされたのでしょう」 「な、何を……」 「叶絵さんに押し切られた? だから何? 美山作蔵と直接話し合うことに失敗しただけなんだから、警察にでもなんでも行けばいいじゃない」 「あの事を他人に漏らしたら、美山さんは一生恨むって……」 「麻薬患者や自殺志願者に、止めたら一生恨むと言われたら、彼らを放置するの? 文雄さんはそんな考えの人ではないでしょう?」 文雄は口をつぐんでしまう。 千鶴子は文雄の両肩を押さえ、顔を近づけていった。 「正義感の強い文雄さんが、どうやって口止めされたのかしら」 千鶴子の吐息が文雄の頬に触れるくらいの近距離で、千鶴子が言った。 「暴力? ううん、傷は一つしかないんだから、それは違うわ。お金でもない。文雄さんはお金で動く人じゃない」 「……」 「ねえ、文雄さん、他に何があると思う?」 千鶴子の問いかけに、やはり文雄は黙ったままだった。 その様子に、千鶴子は、小さく体を震わせた。 「最悪……最悪だわ……」 文雄の肩を押さえる手に力がこもり、爪が皮膚に食い込んだ。 「はは……本当に……最悪……あははははは」 「千鶴子……?」 ついには喉の奥から笑い声まで漏らし始めた妹に、文雄の方が声をかけた。 「何が……おかしいんだ……」 「そうやって黙っていればわからないと思うの? 黙っているからこそわかることもあるでしょう。 文雄さんが私や夏江さんに相談もできない口止めなんて、限られているじゃない。 ねえ……ねぇ、どうして、叶絵さんはわざわざ学校から呼び戻されたのかしらね? 違うなら違うと言ってね? ねえ、文雄さん……」 ひたと、千鶴子の空虚な目が文雄を見据えた。 「あの女と、関係を持たされたの? それを撮られたりした? ちょうど、文雄さんが持っていったビデオのように」 「……!」 文雄の顔色が変わった。 それだけで、千鶴子には十分だった。 341 ノスタルジア ◆7d8WMfyWTA sage New! 2008/11/09(日) 08 46 46 ID fqOuGLaE 「文雄さん……」 静かに呟いて、千鶴子は文雄の首元に噛み付いた。 白い犬歯が肌を突き破り、血が湯に溶けて流れた。 「ち……づこ……? 何を……」 千鶴子は答えない。 体全体で呼吸するようにして、ますます強く文雄の肩を首元を噛んだ。 食い千切らんばかりの勢いだった。 「や、やめろ……千鶴子……千鶴子!」 文雄の必死の叫びに、ようやく千鶴子は口を離す。 改めて文雄の上に跨り、冷たく見下ろした。 「文雄さん、どんな気持ち? 自分の力で何とかしてみせるだなんて言って、この様なわけだけど」 唇についた血を舌で舐め取りながら、千鶴子が言った。 「情けないと思わない? 申し訳ないと思わないの?」 「思う……思うよ……当たり前だろ」 文雄の目から涙が溢れた。 死にたいと思った。 全てを台無しにした自分を、本当に最低の人間だと思った。 「だから言ったじゃない。不幸になるって」 「……こうなることが、わかっていたのか?」 「文雄さんがこうなるとは予想外よ。だから最悪。私も最悪なの。自分の愚かさに反吐が出そう。あなたを穢させてしまった私が、憎い。心の底から……」 千鶴子は、文雄に覆いかぶさるようにして抱きついた。 「文雄さん、このまま諦めるの?」 「諦めるも何も……もう俺は黙っているしか……何かしようものなら、俺だけならまだしも、美山さんに迷惑がかかるんだ……」 「私と取引してくれるなら、あなたに降りかかる災難は全て排除してみせる。今回のことも、明日の朝には一夜の夢だったとなるように消し去ってあげる」 文雄は耳元で囁く千鶴子の表情を窺おうとするが、千鶴子にきつくきつく抱きしめられて、それはかなわなかった。 そのままでいると、千鶴子はますます腕に力を込めた。 「私と約束をするのが怖い? でも、文雄さん。あなたが我慢しさえすれば、叶絵さんは幸せになれる。夏江さんも。あの二人への償いの気持ちが少しでもあるなら、考えてみてもいいんじゃないかしら」 「……俺は、何をすればいいんだ……?」 「私を……私のことだけを、ずっと……」 言いかけて、千鶴子は口をつぐんだ。 「ううん。これから先、一日一回は、私の好奇心を満たすこと。それでいいわ」 その言葉の意味するところは、文雄にもわかっていた。 自分の倫理観に著しく反する行動をとることになるであろうことも。 しかし、既に一度信じるままに行動し、破れた文雄の心は、千鶴子の言葉をはねのける強さを有していなかった。 「……あなたの倫理観の拒むところのただ一つを受け入れるだけで、他の全てを守ることができるのよ」 「わかったよ……」 自分に抱きついたままの妹の温かい体を、文雄は震える手で抱きしめた。 結局、自分は逃げられなかったのだと思った。 「わかったから……助けてくれ、千鶴子……」 文雄は涙を流して言った。 千鶴子はそっと身を離し、そんな文雄の顔を見つめた。 「今日の好奇心は、これでいいことにするわね」 そのまま文雄の唇にキスをする。 貪るような、激しい、妹から兄へのキス。 それは、血よりもさらに濃く、真っ黒な関係の始まりだった。 戻る 目次 進む
https://w.atwiki.jp/doldoldoldol/pages/348.html
[[トップ /]] 決闘(陸戦) 敵(NPC) カリブ・中南米 カリブ・中南米 カリブ・中南米 [#j209f87d] カリブ・中米 [#Carib] 南米 [#SouthAmerica] カリブ・中米 名前 Lv HP テクニック 使用アイテム 戦利金 ドロップ レア 出現場所 名前 Lv HP テクニック 使用アイテム 戦利金 ドロップ レア 出現場所 バッカニア 10 95 罠:仕掛け矢剣 傷薬投げ矢魔笛泥酔の酒 700 陶酔の酒気晴らしの酒樽タバコ 盗賊の宝箱R1(バゼラード等)盗賊の書きつけR2(ヴェラクルス南) サントドミンゴ西ハバナ東南米北岸高地 トルトゥーガ山賊 18 150 剣 傷薬ブーメラン黒い粉刺激的な粉袋 630 煙玉刺激的な粉袋カカオタバコ トマホーク サントドミンゴ西ハバナ東南米北岸高地 パカライマ山賊 20 170 剣 治療薬トリカブトの麻酔薬メデューサの首チリペッパーソース 670 白い花治療薬詰め合わせ 南米北岸高地 ゴナイブ盗賊 22 180 罠:ハチ誘導 治療薬投げナイフ魔笛陶酔の酒 680 パイナップルソーマスナップロック式射撃銃 - サントドミンゴ西 マリエル盗賊 23 190 治療薬強力粘着油砒石の毒毒の壺 630 赤い花タバコ砒石の毒 特殊染色料その5 ハバナ東 賞金首 24 200 罠:アンクルスネア 治療薬炸裂薬 1000 ピーナッツ秘薬詰め合わせ煙玉 - サントドミンゴ西 バッカニア 24 200 弓:必中矢弓:連射 治療薬フランキスカ黒い粉オオワシの点眼液 1000 カカオサンゴ細工秘伝の治療薬風妖の刻印 盗賊の書きつけR5(メリダ南西) サントドミンゴ西ハバナ東南米北岸高地 フリビュスチェ 26 210 罠:投げ縄投:連続投げ投:必中投げ 治療薬アグニの火棒ディオニソスの酒ボルジアの秘毒 780 大サメよけの聖刻錬金術式ダウジングロッドパイナップルサンゴ細工 シャルルヴィル サントドミンゴ西ハバナ東南米北岸高地 バッカニア 28 225 治療薬メデューサの呪薬メデューサの首スパイスソース 1500 貝の生息地図治療薬詰め合わせサンゴ細工パイナップル バッカニア狩猟銃 サントドミンゴ西ハバナ東南米北岸高地 名前 Lv HP テクニック 使用アイテム 戦利金 ドロップ レア 出現場所 アマゾン密猟者 26 210 治療薬炸裂薬タカの羽 800 アマゾン川上流 アマゾン密猟者 32 255 秘伝の治療薬爆裂薬 920 パイナップルカカオ刃こぼれしたロングソード アマゾン川上流 略奪者 35 275 秘伝の治療薬フランキスカスパイスソースマクラジャジュース 1150 カカオ治療薬詰め合わせ アマゾン川上流 チラカンブ山賊 40 310 罠:レッグスネア罠:導火線式火炎薬剣投 秘伝の治療薬フランキスカスパイスソースマクラジャジュース 2600 マテ茶アグニの火棒 隠し財宝の地図R9(メキシコ湾南西岸 綿織りカリビアンドレス) 南米北東岸 盗伐団 41 315 秘伝の治療薬ジャベリン魔笛ディオニソスの酒 2500 キャッサバログウッド医神の神薬 隠し財宝の地図R10(メリダ南西) 南米北東岸 ならず者 42 330 槍:必中突き・強 秘伝の治療薬メデューサの首メデューサの呪薬スパイスソース 2100 トマト陶酔の酒ヘズの呪粉 - 南米北東岸 名前 Lv HP テクニック 使用アイテム 戦利金 ドロップ レア 出現場所 ユカタン群盗 37 285 弓 大蜘蛛の油ボルジアの秘毒秘伝の治療薬 1250 奇妙な実テキーラ刺激的な粉袋ヘズの呪粉 - メリダ南西ユカタン半島内陸 カリブ密猟者 38 295 フランキスカスパイスソース秘伝の治療薬 1500 巨大な葉大蜘蛛の油トリカブトの麻酔薬 - メリダ南西 サリナス一味 41 315 メデューサの呪薬メデューサの首スパイスソース秘伝の治療薬 1900 樹皮ゲレップ強壮剤スパイスソース - メリダ南西 サリナス一味 46 - 爆裂薬医神の神薬 1600 樹皮ゲレップチリペッパーソース秘薬詰め合わせ - ユカタン半島内陸(メリダ南西) サリナス 52 - ジャベリンディオニソスの酒 - 樹皮ゲレップ 回復指南書第4巻ゲベール銃 ユカタン半島内陸(メリダ南西) バッカニア 36 280 秘伝の治療薬爆裂薬特殊爆弾アグニの火棒 1100 巨大な葉サイザル麻スーマボトル ブラウン・ベス ヴェラクルス南 賞金首 37 290 秘伝の治療薬フランキスカスパイスソース 1300 サイザル麻錬金術式ダウジングロッド 宝物の地図R2(サントドミンゴ西) ヴェラクルス南東 シエラマドレ山賊 38 295 秘伝の治療薬毒の壺大蜘蛛の油ボルジアの秘毒 1000 金トウモロコシ医神の神薬ボルジアの秘毒 - ヴェラクルス南ヴェラクルス南東 フェリクス一味 40 310 秘伝の治療薬フランキスカスパイスソース 1600 樹皮強壮剤マヤンブルー フュージリア銃 ヴェラクルス南東 バルベルデ一家 41 315 秘伝の治療薬ディオニソスの酒ボルジアの秘毒アグニの火棒 1800 樹皮ログウッド強壮剤ディオニソスの酒 - ヴェラクルス南 盗掘団 39 305 秘伝の治療薬爆裂薬マクラジャジュースオオワシの羽 1700 ジャンブー治療薬詰め合わせ医神の神薬 - マヤ低地(ヴェラクルス南) バルベルデ一家 44 340 アグニの火棒ディオニソスの酒ボルジアの秘毒秘伝の治療薬 1500 スーマジュース樹皮ディオニソスの酒ログウッド - マヤ低地(ヴェラクルス南) バルベルデ 51 495 フランキスカマクラジャジュース医神の神薬 3000 フランキスカ 防御指南書第4巻 マヤ低地(ヴェラクルス南) カンペチェ盗賊 39 305 秘伝の治療薬メデューサの首メデューサの呪薬スパイスソース 1600 トウモロコシマヤンブルー烈火薬ボルジアの秘毒 - メキシコ湾南西岸 脱走兵 41 315 槍 秘伝の治療薬爆裂薬 800 樹皮テキーラスーマジュース医神の神薬 - メキシコ湾南西岸 コルデーロ盗賊団 43 335 秘伝の治療薬フランキスカスパイスソース 2200 奇妙な実治療薬詰め合わせヘズの呪粉 - メキシコ湾南西岸 シュレッテンワルダー(クエストのみ) 50 485 医神の神薬ボルジアの秘毒毒の壺大蜘蛛の油 4000 - - メキシコ湾南西岸 名前 Lv HP テクニック 使用アイテム 戦利金 ドロップ レア 出現場所 征服者 40 395 秘伝の治療薬フランキスカスパイスソース 5000 ジャガイモトマト医神の神薬ソーマ - ポルトベロ北西 密売商人 42 415 秘薬詰め合わせスパイスソースメデューサの首メデューサの呪薬 5000 ジャガイモカシューナッツ煙玉 神殿の地図R11 ポルトベロ北西 密猟者 45 440 罠:大樽落とし罠:仕掛け毒矢 秘薬詰め合わせスパイスソースメデューサの首メデューサの呪薬 4200 丸太木の実陶酔の酒炸裂薬 - ポルトベロ北西 拠点強襲兵 55 530 剣:斬り払い剣:三連斬り 医神の神薬特殊爆弾爆裂薬アグニの火棒 5000 丸太木の実医神の神薬治療薬の詰め合わせ - ポルトベロ北西 征服者 46 450 医神の神薬フランキスカスパイスソース 5000 ジャガイモトマト煙玉ソーマ - パナマ北東 密猟者 48 470 秘薬詰め合わせスパイスソースメデューサの首メデューサの呪薬 4200 木の実丸太催涙の粉袋陶酔の酒 - パナマ北東 冒険者 50 485 秘薬詰め合わせボルジアの秘毒ディオニソスの酒 4200 タロイモ石材 神殿の地図R11 パナマ北東 モタグア山賊 41 315 秘薬詰め合わせスパイスソースメデューサの首メデューサの呪薬 1000 丸太石材大蜘蛛の油スパイスソース グァテマラ北東 流刑囚 49 380 医神の神薬アグニの火棒ボルジアの秘毒ディオニソスの酒 300 草赤い鉱石スーマジュース奇跡の乳香 グァテマラ北東 密漁団 53 400 医神の神薬爆裂薬 2400 草赤い鉱石オオワシの羽大蜘蛛の油 グァテマラ北東 パタヴォナ一家 45 345 剣:連続斬り剣:斬り上げ剣:三連斬り 医神の神薬アグニの火棒ボルジアの秘毒ディオニソスの酒 1500 樹皮木の実スーマジュースディオニソスの酒 コパン川北岸(グァテマラ北東) パタヴォナ 52 樹皮石材フランキスカ コパン川北岸(グァテマラ北東) 名前 Lv HP テクニック 使用アイテム 戦利金 ドロップ レア 出現場所 プラセ山賊 40 310 槍:槍投げ 秘伝の治療薬マクラジャジュースフランキスカスパイスソース 2600 キヌア石材アグニの火棒タカの羽 - 南米北西岸 ウイラ山賊 45 345 斧 医神の神薬魔笛ディオニソスの酒ジャベリン 2800 トウモロコシ - 南米北西岸 脱走兵 35 285 槍:三連突き槍:必中突き 秘伝の治療薬爆裂薬マクラジャジュース 800 樹皮テキーラスーマジュース医神の神薬 ガラパゴス島南岸 密猟者 38 375 商品知識:フォース 秘薬詰め合わせボルジアの秘毒毒の壺大蜘蛛の油 5000 石材 特注サルベージロープ ガラパゴス島南岸 賞金首 45 440 秘薬詰め合わせメデューサの首メデューサの呪薬スパイスソース 4200 丸太ペリドット解毒剤 ガラパゴス島南岸 レーベン一味 40 ガラパゴス島奥地 レーベン 48 ガラパゴス島奥地 南米 名前 Lv HP テクニック 使用アイテム 戦利金 ドロップ レア 出現場所 名前 Lv HP テクニック 使用アイテム 戦利金 ドロップ レア 出現場所 マール山賊 45 345 魔笛ディオニソスの杯ジャベリン医神の神薬 2800 強力粘着油奇妙な実ログウッド 隠し財宝の地図R11(ハバナ東) 南米南東岸 密貿易商人 47 360 ボルジアの秘毒ディオニソスの杯アグニの火棒医神の神薬 3000 医神の神薬樹皮コチニール ブランダーバス 南米南東岸 バンデイランテス 48 470 罠:樽落とし メデューサの呪薬メデューサの首医神の神薬スパイスソース 1000 フランキスカゲレップ巨大な葉 ドラグーン・マスケット 南米南東岸 ヤイマ山賊 38 290 秘伝の治療薬爆裂薬特殊爆弾 1800 トウモロコシマヤンブルー解毒剤治療薬 - 南米南西岸 ラニン山賊 40 310 秘伝の治療薬ヘズの呪粉黒い粉フランキスカ 2100 奇妙な実ログウッドアグニの火棒 羽根帽子♀(橙)調達+1 南米南西岸 オソルノ山賊 42 325 秘薬詰め合わせメデューサの呪薬メデューサの首スパイスソース 2200 樹皮コチニール煙玉 羽根帽子♀(桃)家畜取引+2 南米南西岸 周航海賊 54 525 秘薬詰め合わせアグニの火棒ボルジアの秘毒ディオニソスの酒 4200 巨大な葉ゲレップ ポプンデタ♀特注曳航補助ロープ 南米南西岸[ヤイマ山賊] 名前 Lv HP テクニック 使用アイテム 戦利金 ドロップ レア 出現場所 ガラン山賊 42 325 秘薬詰め合わせメデューサの首メデューサの呪薬スパイスソース 2200 インカローズコチニール煙玉 - コピアポ北西 ピシス山賊 42 325 秘伝の治療薬ヘズの呪粉黒い粉フランキスカ 2100 インカノーブルマント♂(緑) コピアポ北西[ガラン山賊] 周航海賊 52 505 秘薬詰め合わせアグニの火棒ディオニソスの酒ボルジアの秘毒 4200 巨大な葉ゲレップ解毒剤 - コピアポ北西 征服者 35 270 秘薬詰め合わせ魔笛ディオニソスの酒ジャベリン 5000 木の実アルパカ医神の神薬治療薬詰め合わせ リマ北 ウルバンバ川賊 40 310 秘薬詰め合わせメデューサの首メデューサの呪薬スパイスソース 1000 奇妙な実丸太 貫頭衣(調達+2採集+1) リマ北 賞金首 55 510 秘薬詰め合わせメデューサの首メデューサの呪薬スパイスソース 4200 銀治療薬詰め合わせ チブチャの民の黄金衣装(紫) リマ北[征服者] インカ戦士 36 360 秘薬詰め合わせメデューサの首メデューサの呪薬スパイスソース 1000 奇妙な実ジャガイモ - リマ北東 アウサンガテ山賊 42 325 秘伝の治療薬ボルジアの秘毒ディオニソスの酒アグニの火棒 1700 トウモロコシ石材煙玉 パプアヘアー(家畜取引+2) リマ北東 ワンカーヨ盗賊 45 350 医神の神薬爆裂薬特殊爆弾アグニの火棒 1700 ジャガイモ奇妙な実催涙の粉袋炸裂薬 - リマ北東 密猟者 56 535 秘薬詰め合わせメデューサの首メデューサの呪薬スパイスソース 4200 ボルジアの秘毒ペリドット 歴代酋長の衣服(社交+2織物取引+2) リマ北東[ワンカーヨ盗賊] 名前 Lv HP テクニック 使用アイテム 戦利金 ドロップ レア 出現場所 コレイア一味 41 315 秘薬詰め合わせヘズの呪粉黒い粉フランキスカ 2200 石材木材ボルジアの秘毒 ドーバ ラパ・ヌイ西岸ラパ・ヌイ奥地 盗掘団 45 345 秘伝の治療薬爆裂薬 2500 サツマイモ木の実煙玉スパイスソース - ラパ・ヌイ西岸 冒険者 54 525 秘薬詰め合わせボルジアの秘毒ディオニソスの酒 4200 - 特注サルベージロープマオリドレス ラパ・ヌイ西岸 コレイア 56 - - - プラチナ テブテジュコチアテ ラパ・ヌイ奥地
https://w.atwiki.jp/do-monowiki/pages/63.html
クリスマス&お正月中止のお知らせ クリスマス&お正月中止のお知らせ 【キングニャム編】手当たり次第こらしめちゃえ 【キングニャム編】盗まれたリンゴ 【キングニャム編】武器盗難 【キングニャム編】荒らされた農園の修理 【キングニャム編】おびき寄せるためのエサ 【サフラン シプリン編】商品盗難 【サフラン シプリン編】薬品盗難 【サフラン シプリン編】怒り狂う蠍 【サフラン シプリン編】砂漠に残された手掛かり 【サフラン シプリン編】雪原の謎のバツ印 【ミロード メトロム編】工場の不審者 【ミロード メトロム編】ミロードの環境異常 【ミロード メトロム編】盗まれた花達 【ミロード メトロム編】廃工場の異変 【ミロード メトロム編】被害者はこんなところにも 【【ムーラン サハ編】心配性な龍神様】 【【ムーラン サハ編】巫女のお使い】 【【ムーラン サハ編】狩りに行こうか】 【【ムーラン サハ編】ドジ神ムーラン】 【【ムーラン サハ編】謎の鍵】 【【地下アジト編】地下アジト潜入】 【【地下アジト編】地下アジトに蔓延るロボット達】 【【地下アジト編】こいつが犯人?】 【【地下アジト編】イベント中止事件の真犯人】 【【EX.おまけ編】闇夜に浮かぶ黄色い悪魔】 【キングニャム編】手当たり次第こらしめちゃえ 依頼主 シャム クリア条件 ビビりネズミ 5匹 アップラー 5匹 ムーブラン 5匹 報酬 50ニャム 経験値100 【キングニャム編】盗まれたリンゴ 依頼主:ヒナ姉さん クリア条件 ジューシーアップル(5個) 達成報酬 経験値120 60ニャム 【キングニャム編】武器盗難 依頼主:ペル クリア条件 銅星【軽】(10個) 銅星【重】(10個) 銅星【遠】(10個) 達成報酬 経験値140 70ニャム 【キングニャム編】荒らされた農園の修理 依頼主:ニャーム クリア条件 堅い木材(8個) やわらかい木材(5個) 丈夫な木材(3個) 達成報酬 経験値160 80ニャム 【キングニャム編】おびき寄せるためのエサ 依頼主:ペル クリア条件 ジューシーアップル(5個) パワフルネギ(5個) ガッツリミート(3個) 達成報酬 凧のレシピ 経験値180 【サフラン シプリン編】商品盗難 依頼主:リック クリア条件 鉄鉱石(10個) 深緑の鉱石(2個) 達成報酬 経験値250 100ニャム 【サフラン シプリン編】薬品盗難 依頼主:キャロ クリア条件 サフランの布(10個) 御神木の枝(4個) 白雪粉(4個) 達成報酬 経験値280 120ニャム 【サフラン シプリン編】怒り狂う蠍 依頼主:リック クリア条件 スピオン(20体) ボスピオン(2体) 達成報酬 140ニャム 経験値310 【サフラン シプリン編】砂漠に残された手掛かり 依頼主:リック クリア条件 謎の地図(1個) 達成報酬 経験値340 160ニャム 【サフラン シプリン編】雪原の謎のバツ印 依頼主:キャロ クリア条件 セルシウス(1体) 達成報酬 クリスマステッキのレシピ 謎の地図 経験値370 【ミロード メトロム編】工場の不審者 依頼主:ランス クリア条件 不審者(1体) 達成報酬 経験値500 250ニャム 【ミロード メトロム編】ミロードの環境異常 依頼主:クロネ クリア条件 ドミゴースト(10体) キュンミイラ(5体) 達成報酬 経験値550 275ニャム 【ミロード メトロム編】盗まれた花達 依頼主:ランス クリア条件 竜の種(2個) 鉄の種(10個) 白い種(5個) 御神木の種(2個) 達成報酬 経験値600 300ニャム 【ミロード メトロム編】廃工場の異変 依頼主:ランス メタートル(20体) クモテツ(20体) メリプラ(20体) サギネズミ(20体) 達成報酬 経験値650 325ニャム 【ミロード メトロム編】被害者はこんなところにも 依頼主:クロネ クリア条件 ドミチーフ(20体) ドミ親分(3体) 達成報酬 動物の実許可証【トナカイ】 経験値700 【【ムーラン サハ編】心配性な龍神様】 依頼主:ムーラン クリア条件 謎の破片(1個) 達成報酬 経験値1000 500ニャム 【【ムーラン サハ編】巫女のお使い】 依頼主:カンナ クリア条件 サファイアフラワー(4個) ミズハナ(30個) ミズハス(30個) 達成報酬 経験値1100 550ニャム 【【ムーラン サハ編】狩りに行こうか】 依頼主:ロウエン クリア条件 ゴールドドラゴン(1体) 達成報酬 経験値1200 600ニャム 【【ムーラン サハ編】ドジ神ムーラン】 依頼主:ムーラン クリア条件 ムーランの水晶玉・改(1個) 達成報酬 経験値1300 650ニャム 【【ムーラン サハ編】謎の鍵】 依頼主:ロウエン クリア条件 つぎはぐまの糸(10個) カチマジロの岩(10個) カイロ石(10個) 達成報酬 動物の実許可証【鶴】 経験値1400 【【地下アジト編】地下アジト潜入】 依頼主:シャム クリア条件 地下アジトの鍵【丸型】(1個) 地下アジトの鍵【涙型】(1個) 地下アジトの鍵【星型】(1個) 達成報酬 経験値1500 1000ニャム 【【地下アジト編】地下アジトに蔓延るロボット達】 依頼主:シャム RCAT-TypeB(30体) RCAT-TypeH(30体) 経験値1700 1100ニャム 【【地下アジト編】こいつが犯人?】 依頼主:ペル クリア条件 ゲドス(1体) 討伐数1/1体 達成報酬 経験値1850 1300ニャム 【【地下アジト編】イベント中止事件の真犯人】 依頼主:シャム クリア条件 対ヒナ兵器・ワッツスペシャル(1体) 討伐数1/1体 達成報酬 経験値2000 1500ニャム 動物の実許可証【狛犬】 + ネタバレ注意 キングニャムを中心に年末年始に起きた事件はこれで 一件落着となった。 ワッツは迷惑をかけた国や人々にお返しとして懸命に働き、 恒例の行事を無事楽しんだ。 キングニャムもまた、イベントをやり直し、 遅めのクリスマスとお正月イベントを開催した。 それは盛況なものだったという。 シャムは無礼講だと、ゲドスをイベントに招待したが、 ゲドスはざわざわした年末年始の雰囲気が嫌いらしく、近寄りたくないらしい。 雰囲気に圧倒される自分が嫌なのだろう。年末年始は大人しくしていそうだ。だが、強引に参加させたシャムが言うにはまんざらでもなかったらしい。 …だが、ただ一人、この結果に少し納得していない者がおり、密かに行動しているようだ。 それはまた別のお話。 【【EX.おまけ編】闇夜に浮かぶ黄色い悪魔】 依頼主:シャム クリア条件 ???(1体) 達成報酬 動物の実許可証【ヒヨコ】 経験値20000
https://w.atwiki.jp/f_go/pages/4639.html
アイテム詳細 入手方法 フリークエストまとめ 用途 霊基再臨 スキル強化 考察 コメント アイテム詳細 悠久の実 (ゆうきゅうのみ) [ Rare 3 ] 【スキル強化&霊基再臨素材】 この実を食べた者の肉体はあらゆる変化を拒み 不老不死に等しい存在となるが それは神々の永遠の僕となることを意味する。 入手方法 エネミードロップ[金箱] オリュンポス兵 フリークエスト Lostbelt No.5 星間都市山脈オリュンポス フリークエストまとめ フリークエスト 座標名 クエスト名 Lv. AP Drop 他のドロップアイテム L5後編 星間都市西部 大神殿を望む都 74 21 [ 2 ] 暁光炉心[ 2 ] 星間都市南部 大地と豊穣の都 74 21 [ 2 ] 神脈霊子[ 7 ] 星間都市東部 美と愛の都 74 21 [ 2 ] 八連双晶[ 7 ] 祭壇街 神の膝元 76 21 [ 2 ] 蛇の宝玉[ 7 ] 用途 霊基再臨 No. Rare Class Name 再臨段階[個数] 合計 0→1 1→2 2→3 3→4 279 4 槍 カイニス 6 6 306 5 狂 ガラテア 8 8 スキル強化 No. Rare Class Name スキルレベル[個数] 合計 1→2 2→3 3→4 4→5 5→6 6→7 7→8 8→9 9→10 280 5 槍 ロムルス=クィリヌス 15 15 285 5 月 殺生院キアラ 12 12 288 4 槍 虞美人 12 12 295 5 降 ヴァン・ゴッホ 15 15 306 5 狂 ガラテア 15 15 309 5 狂 モルガン 4 11 15 313 4 槍 パーシヴァル 12 12 316 5 詐 オベロン 15 15 考察 コメント 前後編で素材増やしてきたという事は、六章以降も前後編にしてまた素材増やして行くんだろうな… - 名無しさん (2020-10-17 12 49 10) 名前 すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/harrington/pages/527.html
FrontPageへ Mapへ ヨーロッパ北へ ヨーロッパ西へ ヨーロッパ東へ アフリカ西へ アフリカ南へ アフリカ東・インドへ 中南米・カリブへ Sサイズへ 奥地へ ヴェラクルス南 探索 草、刃こぼれしたカトラス、刃こぼれしたロングソード、コンチェロスの頭飾り 調達 草、トウモロコシR1、サツマイモR2、奇妙な実R7 採集 草、サイザル麻R3、巨大な岩R5、巨大な葉R6、樹皮R8 出現NPC ドロップアイテム バルべルデ一家Lv41 強壮剤、ディオニソスの酒 シエラマドレ山賊Lv38 医神の神薬、ボルジアの秘毒 バッカニアLv36 情報追加等に御使い下さい 2106 -- ohwusl (2007-06-02 22 55 24) シエラマドレ山賊が「ボルジアの秘毒」おとします。 -- 名無しさん (2007-06-03 14 09 45) シエラマドレ山賊が「医神の神薬」落とします。 -- 名無しさん (2007-06-03 14 28 33) バッカニア:ブラウン・ベス -- 名無しさん (2007-10-25 01 16 45) 調達でサボテン(R8) -- 名無し (2007-12-24 02 27 57) 探索R15 入ってすぐの重ね岩 刃こぼれロングソード・さびたショートソード・木槍 -- ボレアスのハゲ (2008-06-05 22 16 57) 探索:木槍 入り口付近重ね岩ででました -- 名無しさん (2008-11-06 18 55 38) 探索:さびたショートソード 入り口付近重ね岩 -- 名無しさん (2008-11-06 18 56 08) テーブル岩付近 調達R7+2でサツマイモ・トウモロコシ・草・奇妙な実・サボテン・水・食料 トラスカリ調理で∞に引きこもれます -- 名無しさん (2009-02-08 23 58 41) テーブル岩でコンチェロスの頭飾り・木槍・狩人の槍など探索R17 -- マデ子 (2009-05-13 09 55 51) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magamorg/pages/7858.html
電脳聖血ファルジア 光/水 VR 8 2500 エンジェル・コマンド/リキッド・ピープル/シュヴァザー ■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。 ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、サイキック・クリーチャーを全て、コストの小さい方に裏返す。 ■ソウル・ヴァザー SV サイキック・クリーチャーを1体選び、裏返す。 ■このクリーチャーはブロックされない。 F 自らの生き血と引き換えに、強大な力をコントロールする。 作者:匿名 収録 《聖牢編》